敏腕スカウト「(全国でも)1番か2番じゃないですか」…北陸で見つけた181cm、76kg隠れた“プロ注遊撃手”「投高打低のプロであのスピードは魅力」

AI要約

金沢高と帝京長岡高の練習試合が注目されている。金沢高の山本悠人投手も待機している。

帝京長岡高の茨木佑太投手は大柄で安定した投球スタイルを披露し、スカウトの注目を集めている。

茨木投手は安定した投球でバッターを圧倒し、監督を含む多くの期待を背負っている。

敏腕スカウト「(全国でも)1番か2番じゃないですか」…北陸で見つけた181cm、76kg隠れた“プロ注遊撃手”「投高打低のプロであのスピードは魅力」

 金沢高が、夏予選前の最後の練習試合を、帝京長岡高と行うことは、2カ月近く前から聞いていて、大きな楽しみにしていた。

 金沢高・齋藤大翔遊撃手(3年・181cm76kg・右投右打)vs帝京長岡高・茨木佑太投手(3年・187cm95kg・右投右打)。

 全国トップクラスという表現がふさわしい2人の逸材高校球児。そのがっぷり四つの闘いが見られるまたとないチャンスに、金沢高には右の快腕・山本悠人投手(3年・179cm74kg・右投右打)まで控えている。

 試合前のアップ、外野フェンスに沿って走る帝京長岡高・茨木佑太投手。ネット裏から100mも向こうなのに、その姿で大きさがわかる。

 近くに行ってみる。腰回りから大腿部にかけての太さに驚く。大きなストライドでグイグイ走っても、肩が揺れない、頭が動かない、距離が伸びてもボディバランスに乱れがない。187cm95kg……野球の選手でもいいが、ラグビー全日本のフォワードのイメージにも、ぴったりハマる。

 さらに、キャッチボールから遠投。体を振って、反動をつけて投げようとしない。両肩の延長線上でテークバックがなされて腕が振られるから、腕の振りの軌道も球道も、安定している。

 茨木投手がブルペンで投げ始める。

 スカウトが1人やって来て、捕手のすぐ横に腰を下ろして、球道に目を凝らす。

「今のフォーク?」「いえ、チェンジアップです」

 間近で球道を見つめ、ネット越しに、捕手に球種を確かめる。スカウト活動とはこうした地道なものだ。

 試合が始まって、初回、立ち上がりの茨木投手。リリースのタイミングが合わず、ボールとストライクがはっきりしている。それでも茨木投手が「さすが!」と思わせるのが、ボールが2つ先行してもそこからカウントを立て直すボールに隙がないことだ。スライダー、カットボール、あるいはカーブという変化球を低めに集めてファールを打たせたり、凡打に打ち取ったり、バッティングカウントで失投がない。

「不利なカウントからも、自分、変化球でカウント整えられるだけの指先感覚あるほうなんで、そこはあんまりプレッシャーにはならないんです」

 前に立たれると、見上げるほどのユニフォーム姿。骨格が大きい。

「思いきり振ってくるバッターには変化球でタイミングを外したり、合わせてくるタイプにはまっすぐで詰まらせたり。考えながら投げられる引き出しを、監督さんがいくつも作ってくれたんで、ちょっとボールが先行したぐらいでは動揺しないで済んでます」

 帝京長岡高・芝草宇宙監督は、東京・帝京高のエースとして甲子園でも大奮投。日本ハムに進んで、投手、コーチ、スカウトとしても多くの経験を積んだ野球人である。茨木投手のお兄さん・秀俊投手を育て、プロ(阪神)に送り出したことは、よく知られている。

 見た感じ80%程度の出力か。それでも、太く長い右腕が豪快に、しなやかに投げ下ろされて、コンスタントに140キロ前半をマークする剛速球のインパクトでの衝撃の大きさは、打者の詰まり方を見ればわかる。いや、110キロ台のカーブでも捕球音はネット裏にこだまして、スイングが圧倒されている。

 前半4回、毎回ランナーを許しながら、スクイズの1点のみ。ピンチになるほど 、投げるボールのゾーンが下がる。バッティングカウントで右打者には外角低め、左打者には膝元に、ベストボールの速球をきめてくるのは、すでに「大人の攻め方」だ。