「今プロに入っても遊撃手で肩は一番」「3位指名以上は確実」の声も…MLBスカウトも集結 “偏差値70”桐朋高・森井翔太郎の各球団リアル評

AI要約

森井翔太郎は注目を集める高校生野球選手で、肩の強さや球速が際立っている。

多くのプロスカウトが注目し、高い評価を受けている森井だが、試合では苦しい展開が続いた。

それでも、将来性を感じさせる素材であり、ドラフト上位指名が予想される。

「今プロに入っても遊撃手で肩は一番」「3位指名以上は確実」の声も…MLBスカウトも集結 “偏差値70”桐朋高・森井翔太郎の各球団リアル評

 7月7日の東京・府中市民球場。気温36度の酷暑の中、バックネット裏から一、三塁側にかけてある席はほぼ満員となり、西東京大会1回戦では異例となる立ち見も出るほどだった。何よりも目立ったのはMLB3球団を含むプロ14球団42人ものスカウトだ。

 彼らのお目当ては、桐朋高の森井翔太郎だ。桐朋高は東大合格者を毎年10 人前後を輩出する偏差値70の進学校であり、森井は異色の存在だ。当然スポーツ推薦制度はない。183センチ、86キロの体格はひときわ目立つ。

 試合前のシートノックからスカウトたちの視線やビデオカメラが遊撃手の位置に入った森井を向く。長身だが動きは軽やかで、送球はまさに矢のようだ。何せ投手を務める際の最速は153キロ。近年球場のスピードガンでは“上ブレ”で思わぬ球速が計測され、それがその投手の「最速〇〇○キロ」となってしまうこともあるが、森井の最高球速は練習試合でスカウトたちのスピードガンで叩き出された、まがいの無いものだ。

「矢野雅哉が大学時代に“投げたら球速が148キロくらい”と聞きました。でも森井くんは高校生で150キロを超えているわけですからね。足も遅くないし、数をこなしていけば楽しみです」

 こう語ったのは阪神・吉野誠スカウト。広島のレギュラーを張る強肩遊撃手よりも“球速”という部分ではすでに抜けているというのは、森井の肩の強さが超高校級であることの証明だ。

 肩の強さについて最大限の賛辞を送ったのは、西武・潮崎哲也スカウトディレクターだ。

 森井が小学6年時に西武ライオンズジュニアに選出されていたという縁もあってか、この日の西武はなんと11人で視察。その中で潮崎スカウトディレクターは「内野手であれくらいの肩を持った選手はなかなかいませんよ。ウチの松井稼頭央のような強さ。今、プロに入っても一番強いんじゃないでしょうか」と、森井の肩の比較対象に球界トップ選手を置いた。そして吉野スカウト同様、「グラブ捌き含め何かにつけてセンスが良い。スイングスピードや体幹の強さもあって鍛えがいのある選手ですね」と見込んだ。

 大型選手ではあるが早熟では無い。それでいて不器用な感も無い。ロッテ・福澤洋一スカウトは「投げることにも打つことにも、全てに将来性を感じます。ドラフト3位以上は間違いないでしょう」と、上位指名級の素材であることに太鼓判を押した。

 そんな大注目の中で始まった西東京大会1回戦の都立富士森高戦は予想外の展開となった。1回表に3番の森井はセンターフライに終わったものの、相手失策により幸先良く先制した桐朋高。だが、1回裏に先発投手の乱調から一挙5失点し、たまらず遊撃手の森井がマウンドへ。しかしバント安打を許すと、続く打者にはレフト前安打を浴びて、さらに2点を失った。

 その後はキレの良い直球を生かした投球で抑えていくものの初回の7失点はあまりにも大きかった。森井はバットで返そうとしたが、2・3打席もセンターフライ。それぞれ5.36秒、6.03秒、6.11秒と滞空時間の長さに出色のものは感じさせたものの無安打。