レオタードが苦手?体操・杉原愛子さんが広げた選択肢「これなら着られる」「安心できる」選手や保護者から届いた声

AI要約

女子体操界におけるユニフォームの多様化が進んでいる。杉原愛子選手が新たな選択肢「アイタード」を提案し、その背景には性的視線や技術面の問題がある。

ドイツ代表チームが足全体を覆うユニタードを着用し、杉原選手もユニフォームの多様性に目を向けた。アイタードは「股下2センチ」の新しいルールに基づいて作られた。

ユニフォームの規定や歴史、FIGの立場などが取り上げられ、女子体操競技におけるユニフォームの進化と未来について考察されている。

レオタードが苦手?体操・杉原愛子さんが広げた選択肢「これなら着られる」「安心できる」選手や保護者から届いた声

「女子体操選手のユニフォームといえばレオタード」という考えが変化しつつある。

2021年の東京オリンピックでは、ドイツ代表チームが足全体を覆うユニタードを着用して競技した。

ユニフォームが多様になる中、日本で新たな選択肢を作った選手がいる。長年トップアスリートとして体操界を牽引してきた杉原愛子選手だ。

杉原選手は2022年に一度選手生活に区切りをつけ、2023年には体操の普及を目指す会社「TRyAS」を立ち上げた。

その後に現役復帰したが、第一線を退いていた時に気づいた選手以外の視点をもとに、ショート丈のユニフォーム「アイタード」を作った。

「多様性の時代だから、選手としてだけではなく色々なチャレンジをしたい」と話す杉原選手に、なぜ選択肢を増やすことが女性アスリートが活躍するために重要だと思うかを聞いた。

アイタードの着想のきっかけになったのは、TRyASの男性スタッフに「女子体操のファンだと言いづらい」と言われたことだったという。

公言しにくい理由は「ユニフォームがレオタードだから」。それは杉原選手にとって初めて聞く悩みで、驚きだった。

杉原選手にとってレオタードは性的な視線で捉えるものではなく、当たり前のユニフォーム。それでも、「子どもにはレオタードを着させたくない」と感じている保護者がいることも知った。

何かできないかと考えた杉原選手の頭に浮かんだのが、2021年の東京オリンピック出場時に見た、ドイツ代表選手のユニフォームだった。

ドイツ代表は、2021年のヨーロッパ体操競技選手権に続き、東京オリンピックでも足首まで隠れるユニタードを着て参加した。

レオタード以外のユニフォームを初めて目にした杉原選手は「こんな選択肢もあるんだ」と気づいた。

ただし、ユニタードは技術面から杉原選手自身が着ようと思える選択肢ではなかったという。

「ユニタードは膝を持つ技などをする時に滑るのではという恐怖感があり、東京大会で見た時には私にはレオタードしかないなと思っていました」

ユニフォームが、体操競技を広める障壁になっているのであれば、ユニタードでもレオタードでもない、新しい選択肢を作ってみてはどうだろう――。

改めてユニフォームの規定を確認すると、女子はレオタードかユニタードを着用せねばならず、レオタードは「臀部から2センチ以内」と定められていた。

FIG(国際体操連盟)によると、ユニタードは1997年に認められたが、主に新体操のみで使われており、女子体操競技でも取り入れられたのは最近だ。

ドイツ代表チームはユニタードを選んだが、杉原選手は視点を変えて「股下2センチ」に着目。足の付け根から2センチ下まで長さのある、第3のユニフォームとしてアイタードをつくることにした。