髪型自由の慶応に“2mm丸刈り”2年生 目立ちまくりの酒井一玖、圧勝発進呼ぶ3安打「自分の中ではカッコいい」

AI要約

慶応が昨夏全国制覇した神奈川大会で初戦を快勝し、2回戦に進出。2年生の酒井一玖が3安打1四球の活躍で勝利に貢献し、丸刈り頭という異色の存在として注目を集める。

酒井はプレーだけではなく、丸刈りでの参加も話題となっており、自身のこだわりと高校野球イメージについて語る。チームはまだ改善すべき点があるとし、次の試合に向けてレベルアップを目指す。

下級生にポテンシャルを感じる監督の期待や、慶応への思いなどが語られ、夏の試合を通じて成長を遂げる慶応ボーイの物語が描かれている。

髪型自由の慶応に“2mm丸刈り”2年生 目立ちまくりの酒井一玖、圧勝発進呼ぶ3安打「自分の中ではカッコいい」

 第106回全国高校野球選手権の神奈川大会は11日、サーティーフォー相模原などで2回戦を行い、昨夏全国制覇した慶応が初戦を快勝。14-3で横須賀学院に7回コールド勝ちを収め3回戦へ進んだ。初めて夏のベンチ入りを果たし「2番・二塁」で先発した酒井一玖(いっきゅう、2年)は3安打1四球の活躍で勝利に貢献。髪型を制限しないことでも話題となったチームで唯一の丸刈り頭という、異色の慶応ボーイだ。

 初戦から異彩を放った。酒井は5回2死二塁から右前適時打を放つなど、4打数3安打1四球。盗塁も決めて役割を果たした。自身にとって初めての夏のベンチ入り。さらに下級生が昨夏の全国Vチームでスタメン出場となれば、試合前には様々な感情に襲われた。「緊張したけど、まずは1勝できてほっとしている」と白い歯をのぞかせた。

 存在感を示したのは、プレーだけではない。近年の高校野球では髪型を制限しないチームが増えているが、その先陣を切っていたのが慶応。そこで酒井はただ一人丸刈りで出場したのだから、目立つのも当然だ。

 丸刈りを「自分の中ではカッコいい」と言い切る。酒井の高校野球のイメージとは、不可分のものだったというのだ。幼い頃からカッコいいお兄さんに憧れた。甲子園の季節になると、球児をまねて丸刈りにしていた。中学軟式の強豪、上一色中(東京)で部活引退後、一時は髪の毛を伸ばしたというがすぐに戻した。この日も2ミリに刈って、気合を注入した。

 慶応はこの日、3回に2つの失策が重なった。さらに暴投もあり3点を返され、まだまだプレーの完成度を高める余地がある。酒井も「相手も最後の夏なので、死に物狂いでくる。簡単にはいかないと思った」と夏の怖さを実感した。自身のプレーにも、厳しい評価を向ける。

「内容的には、チームも個人も思うようにいっていない。次の試合までにレベルアップして一戦一戦、勝っていきたい」

 森林貴彦監督も「走攻守にポテンシャルを秘めている下級生。頭だけでなく輝いてほしい」と期待を寄せ、酒井のスタイルに理解を示す。かつては中学の先輩も多く進む専大松戸高(千葉)のファンだったというが、自分で考える野球にひかれて慶応へ。昨夏の日本一はスタンドから声援を送り、大きな刺激を受けた。丸刈り慶応ボーイの、進化の夏が始まった。