放出したのは超新星爆発か連星ブラックホールか? 市民科学プロジェクトで見つかった400光年先の高速度星

AI要約

J1249+3621はりょうけん座から約400光年先で見つかった天体で、超新星爆発を起こした白色矮星の近くに位置している。

この天体は市民科学プロジェクト「Backyard Worlds: Planet 9」によって発見され、地上の望遠鏡による追加観測が行われた。

J1249+3621は高速で天の川銀河から脱出する可能性があり、恒星と惑星の中間的な天体である褐色矮星の可能性もあると考えられている。

放出したのは超新星爆発か連星ブラックホールか? 市民科学プロジェクトで見つかった400光年先の高速度星

こちらは「りょうけん座(猟犬座)」の方向約400光年先で見つかった天体「CWISE J124909.08+362116.0」、以下「J1249+3621」の起源についての想像図です。右の赤い天体がJ1249+3621で、左には超新星爆発を起こした白色矮星が描かれています。太陽は天の川銀河を秒速約220kmで公転していますが、J1249+3621はずっと速い秒速約456km=時速約164万kmで移動する高速度星の1つであり、天の川銀河から脱出していく可能性があると考えられています。

J1249+3621は市民科学プロジェクト「Backyard Worlds: Planet 9」に携わる市民科学者たちによって発見されました。このプロジェクトはアメリカ航空宇宙局(NASA)が2009年から2011年にかけて実施した赤外線での全天観測ミッション「WISE(Wide-field Infrared Survey Explorer、ワイズ)」の観測データを利用して、太陽系の未発見の惑星や褐色矮星といった暗い天体をボランティアの協力の下で捜索するべく2017年2月にスタート。これまでに8万人以上の市民科学者が参加しています。

市民科学者による発見の後、地上の望遠鏡によるJ1249+3621の追加観測が行われました。ハワイのマウナケア山頂にあるW. M. ケック天文台によると、カリフォルニア大学サンディエゴ校のAdam Burgasserさんが同天文台の分光観測装置「NIRES(Near-Infrared Echellette Spectrograph)」を使って観測した結果、J1249+3621は太陽などの主系列星(矮星)よりも光度が低い準矮星の一種(L型)である可能性が示されています。ただし、J1249+3621の質量は中心部で水素の核融合反応が継続する下限(太陽質量の約8%)付近とみられており、小質量の恒星である可能性が高いものの、恒星と惑星の中間的な天体である褐色矮星の可能性もあるようです。

どうしてJ1249+3621が天の川銀河を脱出するほどの速度で移動するようになったのか、その理由はまだ判明しておらず、Burgasserさんを筆頭とする研究チームは2つの仮説を提唱しています。