「おうちのご飯が食べたい」被災者に寄り添った炊き出し 冷凍のお惣菜でメニューに広がり【暮らしの防災】

AI要約

全国の市民団体が能登半島地震の被災地支援を続けている中、三重県の「みえ防災市民会議」は炊き出しで新たな試みを行い、被災者から喜ばれた。

「みえ防災市民会議」は炊き出しにおいて衛生面を重視しており、日本家政学会の「炊き出し衛生マニュアル」に基づいたルールに従って活動している。

被災者のニーズを重視し、地元の食品メーカーの冷凍のお惣菜を提供することで、現地での調理や衛生面の心配を軽減している。

「おうちのご飯が食べたい」被災者に寄り添った炊き出し 冷凍のお惣菜でメニューに広がり【暮らしの防災】

能登半島地震から半年以上が経ちました。全国の市民団体は、今も被災地支援を続けています。三重県の「みえ防災市民会議」もそのひとつで、3月末に行った炊き出しでは新しい試みを行い、被災者から喜ばれました。今回は、そのノウハウ・工夫を紹介します。

 「みえ防災市民会議」が炊き出しで最も注意しているのは「衛生面」です。

 炊き出しと言うと単に「大人数分の食料を作ればいい」と思いがちですが、衛生面について厳しいルールがあります。

 日本家政学会が作成した「炊き出し衛生マニュアル」には、準備から後片付けまでの注意点がまとめられています。

 集団食中毒を起こさないために、スタッフ(調理者だけでなく)、調理器具、食材の保存、調理、提供(配膳)、ゴミの処理について詳しく説明されています。

 そして、もう一つ「被災者のニーズを聞くこと」が重要としています。「自分たち(支援団体)がやりたいことをやってはいけない」と言います。

 例えば、ある避難所に日替わりで全国から支援団体が来て、炊き出しを行うとします。事前に調整をしないと、メニューが毎日カレーに…などと、なりがちです。

 これには事前調整の有無のほかに、様々な制約から炊き出しで提供できるメニューに限りがあることも原因の一つです。

 そこで3月の炊き出しでは、三重県松阪市の食品メーカーの「冷凍のお惣菜」を持って行きました。

 調理済みの冷凍のお惣菜を発泡スチロールの保冷箱に入れて運びました。

 ご飯はパックご飯です。現地では湯せんするだけで、まな板で食材を切る・大鍋での調理など行いませんでした。

 一見手抜きに見えますが、そうではありません。「おうちのご飯・おかずが食べたい」という、被災者からのリクエストに応えようと考え出したそうです。

 「何か役に立ちたい」という食品メーカーの社長さんの熱い思いもありました。

 持ち込んだ冷凍食品のお惣菜はシッカリしたものでした。介護施設、給食センター、スーパーなどに提供しているもので「真空調理」が特徴です。

 「真空調理」は、適度に柔らかく、味は濃くも薄くもなく仕上がり、保存期間が長いのが特徴です。メニューも800以上あり、メニューに広がりを出せます。(私も体験会で実食。とても美味しいおうちご飯でした。)

 現地では温めて配膳するだけなので、衛生面の心配はありません。ボランティア初心者・炊き出し未経験者でもスタッフに入り、ベテランの方と一緒に作業ができます。

 フードウォーマーを使えばいつでも温かい料理を提供できます。調理は温めるだけなので、ゴミが少ないのも特徴です。今後も、この試みを続けるそうです。