「恐竜を絶滅させた隕石」の正体が判明、レアタイプだった、彗星説や火山原因説を否定

AI要約

ティラノサウルスやトリケラトプスをはじめとして、白亜紀を終わらせた巨大隕石は木星の外側からやってきたことが判明。

6600万年前の隕石衝突でできたメキシコ沿岸のクレーターは多くの生物絶滅を引き起こし、イリジウムやルテニウムの増加で証明された。

チクシュルーブの隕石は外太陽系で形成されたC型小惑星から来ており、堂々たる地質学的「指紋」を残していた。

「恐竜を絶滅させた隕石」の正体が判明、レアタイプだった、彗星説や火山原因説を否定

 ティラノサウルスやトリケラトプスをはじめとして、鳥類を除く恐竜、翼竜や海竜などの爬虫類を絶滅させ、白亜紀を終わらせた直径10キロを超える隕石は、木星の向こう側からやってきたことが明らかになった。8月16日付けの学術誌「Science」で発表された論文によると、この巨大な岩の塊は地球の近くを周回していたのではなく、太陽系をはるばると旅してきたあと、地球に衝突したという。

 6600万年前の衝突でできた巨大クレーターは、現在のメキシコ沿岸の海底にあり、チクシュルーブと呼ばれている。衝撃時には大規模な灼熱の波が発生し、何年も続く冬が訪れた。そのせいで既知の生物の60%超が絶滅した。

 この衝突が起きたことを示す最初の兆候として認識されたのは、白亜紀とそれに続く古第三紀との境界にあたる岩石の層に、イリジウムという金属の量が突出していることだった。この現象は世界的に見られ、イリジウムを多く含む層はK/Pg境界と呼ばれている。

 このような岩石中の金属は、いわば地質学的な「指紋」であり、隕石がどこからやってきたのかを示す証拠となる。今回決め手になったのは、ルテニウムという金属だ。

 ルテニウムはイリジウムと同じく、地球の地殻ではめったに見つからないが、隕石や小惑星ではよく見られる金属だ。絶滅境界の岩石では、ルテニウムの濃度が増加していた。

 なかでもポイントになったのは、ルテニウムの同位体(質量数の異なる元素)の組成だ。この組成は、隕石が太陽系のどこでできたかによって変わってくる。論文の著者で、ドイツのケルン大学の地質学者であるマリオ・フィッシャー・ゲッデ氏らは、この違いからチクシュルーブの隕石の起源を突きとめた。

 チクシュルーブの隕石は、木星より外側の「外太陽系(outer solar system)」で形成された炭素質コンドライト隕石だった。専門用語では、「C型小惑星」と呼ばれるものだ。