ヒゲクジラの化石、新属新種の可能性 北海道・穂別博物館

AI要約

北海道むかわ町穂別博物館は、国内で稀少なクジラの化石を収蔵しているが、イサナケタス・ラティケファルスとは異なる種であることが判明した。

化石は中期中新世前期の地層から出土し、2008年に平取町で見つかったものであり、鼻骨の形が異なる点が判明した。

研究グループは、これまでの研究結果から、中新世前期に北海道にイサナケタスの仲間が生息していた可能性を示唆している。

 北海道むかわ町穂別博物館は収蔵するクジラの化石が「ヒゲクジラの一種で国内で産出例が少ないイサナケタス・ラティケファルスに近いが、同種でないと判明した」と発表した。

 化石は2008年6月に平取町で発見された。17年から山形大学、札幌市博物館活動センターと研究を進めたところ、中期中新世前期(1670万~1530万年前)の地層から出土し、イサナケタス・ラティファルスによく似ていることが分かった。ただし、鼻骨の形が異なっていたという。この結果は日本古生物学会の英文学術誌に掲載されており、8日に博物館が発表した。

 イサナケタスの化石は岐阜県と三重県で数点が見つかっている。道内は大樹町で見つかった中期中新世(1500万~1150万年前)のイサナケタス・タイキケトゥスが18年に新属新種として報告されている。

 今回の研究は、イサナケタス・タイキケトゥスよりも前から北海道にその仲間が生息した可能性を示した。研究グループの桜井和彦館長は「標本が頭骨の一部だけで『近い』というところまでしかたどり着けなかった。今後、新たな標本が見つかれば研究が進むかもしれない」と期待した。【平山公崇】