原因は自分にあるの?~舌痛症~

AI要約

舌痛症の原因は心理面が大きく影響しており、ストレスやフラストレーションが関連している。

フラストレーションが大きくなると体は危険を感じ、回避行動を取るが、一時的な改善が再燃することもある。

フラストレーションからの脱却には新たな思考や行動が必要であり、それがネガティブな方向に向かうと症状や疾患を引き起こす可能性がある。

原因は自分にあるの?~舌痛症~

 舌痛症の原因は不明です。ただ、心理面が大きく影響していると言われています。いわゆるストレスです。これを客観評価する研究もありますが、本人が感じた時点でストレスとなります。今回は心理面からどのような影響があるのか考えてみます。

 ストレスは外的要因(五感によって取得された情報)によるメンタルダメージを指します。一方、自分の中にある欲求充足ができていない(欲求不満)状態をフラストレーションと呼びます。フラストレーションは、葛藤によって引き起こされると考えられます。では、人はなぜ葛藤し、悩むのでしょうか。思い通りにならないことをコントロールしようとして、結局できなくて葛藤します。多くの人は、過去と他人は変えられないという原則を頭では分かっていても、変えようと努力してしまいます。

 「なんであいつは何度注意しても言うことを聞かないんだ」「私は正しいことをしているのに、なぜそれが分からないのか」「あんなことがなければ今ごろは…」「なんで私ばっかりこんな病気になってしまったんだ」など、思い当たるケースはたくさんあるのではないでしょうか。できないことを一生懸命してもできないのは当然です。

 では、変えられないものを変えようとしてフラストレーションが大きくなるとどうなるでしょう。体は、その結果によって起こる身体反応が危険なことを知っているので回避行動を取ります。具体的には、フラストレーションがたまって身動きできなくなりそうなときは、まず、過去の経験の中からフラストレーションを改善できた行動を脳が選びます。例えば、気分転換に出掛けてみる、運動をして汗をかく、親しい友人に悩みを話してみるなどです。

 しかし、フラストレーションが大きく、その改善行動に効果がなかったり、一時的に良くなっても再燃してしまったりすることもあります。そういった場合でも、何かしなければいられないと脳は考え、行動を要請し続けます。

 人間の脳は、状況を改善できる手持ちの行動がなくなってしまった場合、新たな思考・行為を生み出すことができます。これがアイデアとかひらめきに当たると考えられます。「何か成し遂げよう」と一心不乱に努力をしても「もうだめだ。できない」とあきらめかけたとき、ふとアイデアが浮かんだ経験があるかもしれません。これは、達成しようとした事柄のイメージで頭がいっぱいになり、それしか想定できないときだけに起きます。

 不安やネガティブな思考で頭の中がいっぱいになってしまっても同様の現象が生じると考えられます。不安やネガティブな状況から脱却する効果的な行動がない場合、やはり脳は新たな思考・行為を生み出します。ただ、それがネガティブな方向であれば、原因不明の痛みや説明のつかない症状、ひいては幻聴や実際に体に疾患をつくる可能性もあるでしょう。