HPVと子宮頸がん ~予防と検査の重要性~

AI要約

ヒトパピローマウイルス(HPV)は、子宮頸がんなど多くのがんの原因となる一般的なウイルスで、性的接触を通じて感染する。

HPVには低リスク型と高リスク型があり、特に型16と18が子宮頸がんの主な原因となる。

HPV感染から子宮頸がん発症までには通常、数年から数十年かかり、前がん病変の段階での発見と処置が重要である。

HPVと子宮頸がん ~予防と検査の重要性~

 ヒトパピローマウイルス(HPV)は、現代社会ではごく一般的なウイルスです。子宮頸(けい)がんをはじめとする多くのがんの原因となることが知られており、特に女性の健康に大きな影響を与える可能性があります。この記事では、予防法や検診の重要性を含めて詳しく解説します。HPVについての正しい知識を持ち、自身の健康を守っていきましょう。

 HPVは皮膚や粘膜に感染するウイルスの一種で、主に性的接触を通じて感染します。性体験のある女性の約80%が50歳までに感染すると言われ、皮膚と皮膚の接触でも感染する可能性があります。

 しかし、自覚症状がない場合が多く、感染に気付かない人も少なくありません。また、コンドームを使用しても完全には予防できないため、性的接触には常に感染リスクが伴うと考えられています。

 HPVには200種類以上の型が存在し、そのうちの約40種が生殖器に感染します。これらは大きく分けると次の二つのグループになります。

 1. 低リスク型:主に良性の病変(性器いぼなど)を引き起こす。

 2. 高リスク型:がんを誘発する可能性がある。特に型16と18は子宮頸がんの主な原因となる。

 HPVはさまざまな疾患の原因になります。特に注目すべきは、がんとの関連性です。子宮頸がんの原因の99.7%はHPV感染が関与していると言われており、最大のリスク因子です。感染により尖圭(せんけい)コンジローマという性器のいぼができることもあります。

 感染しても、90%以上が2年以内に自然に排除されます。しかし、一部の高リスク型HPVの感染が長期間持続することで、最終的にがんを発症する可能性があります。HPV感染から子宮頸がん発症までには通常、数年から数十年かかります。その典型的なプロセスは次の通りです。

 1. 感染:高リスク型HPVが子宮頸部の細胞に感染する。

 2. 持続感染:多くの場合、HPVは自然に排除されるが、一部のケースでは感染が持続する。

 3. 前がん病変:持続感染により、子宮頸部の細胞に異常が生じ始める。この段階を前がん病変と呼ぶ。

 4. がん化:前がん病変が進行し、がん細胞に変化する。

 前がん病変の段階で発見して適切な処置を行えば、がんになるのを防げると考えられています。