女性の乳がん、9人に1人 ~早期発見と予防のために~

AI要約

乳がんは女性にとって最も身近ながんで、初期段階では自覚症状がほとんどなく、悪性腫瘍が比較的ゆっくり進行する。早期発見と予防が重要で、マンモグラフィー検査やブレスト・アウェアネスが役立つ。

乳がんのリスク要因には家族歴や遺伝的要因、ホルモン関連要因、生活習慣などがあり、40代以降の女性に高いリスクがある。自己検診や定期検診を通してリスクを把握し、早めの対応が必要。

男性でも乳がんは発症する可能性があり、男性も乳房の変化に注意を払うべき。乳がんに関する正しい知識を身につけ、健康管理に留意することが大切だ。

女性の乳がん、9人に1人 ~早期発見と予防のために~

 乳がんは女性にとって最も身近ながんで、日本人では9人に1人が生涯のどこかで発症する可能性があります。初期段階では自覚症状がほとんどなく、比較的ゆっくり進行するのが特徴です。しこりが小さいうちは治癒率が高く、早期発見と予防が重要になります。

 このコラムでは、乳がんについて知っておくべきこと、早期発見・予防のための具体的な方法、生活習慣改善のヒントなどを分かりやすく解説します。人ごとと思わず、自分自身を守るために、ぜひ参考にしてください。

 乳がんは乳房にできる悪性腫瘍で、乳腺組織を構成する細胞が異常に増殖することで発生します。多くは乳管から発生する「乳管がん」ですが、小葉から発生する「小葉がん」も見られます。

 初期は自覚症状がない上、しこりも小さいため、自分で触っても気付きにくい場合があります。しかし、早く発見できれば治療の選択肢が広がります。治癒の可能性も高く、5年相対生存率は90%を超えるとされています。

 乳がんのリスクは40代でピークを迎え、50代以降も高いリスクが続きます。30代後半から発症率が上がり始めるため、30歳を過ぎたら本格的にリスクと向き合う必要があります。

 年齢以外のリスク要因としては、次のようなものが挙げられます。

 1. 家族歴(特に第一度近親者=両親、兄弟姉妹、子ども=に乳がん患者がいる場合)

 2. 遺伝的要因(細胞のがん化を抑えるBRCA1やBRCA2遺伝子の変異など)

 3. ホルモン関連要因(早い初潮、遅い閉経、出産経験がないなど)

 4. 生活習慣(肥満、運動不足、過度の飲酒など)

 ただし、これらがなくても乳がんを発症する可能性があることを認識しておきましょう。

 早期発見に向け、日本では40歳以上の女性を対象に2年に1回のマンモグラフィー検査が推奨されています。目に見えない小さながんを発見するため、乳房のX線撮影を行います。

 若年層や乳腺密度の高い女性には超音波検査(エコー)も有効。マンモグラフィーで見つけにくい病変を発見するのに役立ちます。

 医療機関での定期検診に加えて、普段から乳房を意識して日常生活を送る「ブレスト・アウェアネス」という考えがあります。例えば入浴時に次のようなことに注意してみてください。

 ● しこり(最も一般的な症状)

 ● 乳房の痛み

 ● 乳房の形や大きさの変化

 ● 乳頭からの分泌物

 ● 乳房の皮膚の変化(赤み、腫れ、ただれなど)

 ● 乳頭や乳輪の変形

 症状の有無は①鏡の前で両腕を上げたり、下ろしたりする②指の腹を使って乳房全体を満遍なく触る③乳頭を軽く押す―といった方法で確認します。

 乳がんは男性でも発症する可能性があります。全乳がんの1%程度とされていますが、男性の場合、認識の低さから発見が遅れがちです。男性も胸部の変化には注意が必要です。