能登半島地震で47万人以上の疲れを癒やした自衛隊のお風呂 のれんに注目

AI要約

日本人のお風呂愛についての調査結果や家族のコミュニケーションの重要性、災害時の入浴支援活動について紹介。

自衛隊が被災地にお風呂を提供する歴史や装備、そして被災者への思い。

入浴支援の活動を通じて被災者に元気を与える取り組みや、地域に根付いた取り組みについて。

 風呂やサウナの医学的な効用、注意点などを専門家らの談話やエピソードを交えながら紹介します。岩盤浴、足湯など、様々な温浴方法の効能についてもお伝えします。

 日本人は世界でも無類のお風呂好きです。東京ガス都市生活研究所の調査報告書によると、浴槽のお湯につかることについて「好き」「まあ好き」を合わせると86%を占めています。

 この報告書には、子どものいる20、30歳代の女性の半数がほぼ毎日、親子で入浴しているとも書かれています。入浴は家族の大切なコミュニケーションの時間でもあるのです。

 災害時にはそんな大切な時間が奪われてしまいます。被災地に派遣される自衛隊にとって、地域の人々に温かいお湯につかってもらう「入浴支援」は重要な任務の一つになっています。

 初めて入浴支援が実施されたのは1957年、長崎県諫早市を中心に発生した大水害の被災地だったそうです。その後、95年の阪神大震災では51万5000人、2011年の東日本大震災では109万2000人が利用しました。

 今では各地の陸上自衛隊の後方支援部隊などで、入浴支援のための装備品が配備されています。テントと浴槽、シャワースタンド、貯水タンク、発電機などがひとまとまりになっており、大型トラックで引っ張って運びます。普段は隊員の野外訓練などの際に使われています。

 元日に起きた能登半島地震でも自衛隊が準備したお風呂に47万人以上の人が入り、避難生活の疲れを癒やしました。6月以降も石川県珠洲市内で週3000人が利用しています。

 被災地の人々がテントで覆われたお風呂に向かった時、まず目に入るのが「尾張の湯」や「広島もみじ湯」などとデザインされたのれんです。

 少しでもくつろいだ気持ちで入ってもらおうと、部隊ごとに、それぞれ土地にちなんだのれんを作っており、「まるで銭湯みたい」と好評だそうです。

 防衛省の担当者は「日本人にとってお風呂は本当に大切な習慣。清潔になり、体や心も温まってもらうことで、被災者に少しでも元気になってほしい」と話していました。(竹井陽平)