美の力で復興再び 現美輪島展13日開幕

AI要約

第80回現代美術展輪島展が開幕を控え、輪島市の漆芸美術館で開場式が行われた。関係者約30人が美術の力が被災地復興の原動力となることを願いつつ、地元作家の作品に注目した。

能登半島地震から半年余りが経過し、地震で被害を受けた奥能登で唯一の展覧会となる輪島展は、70年ぶりに復活したアートイベント。展示数は35点に絞られ、地元人間国宝の作品や入賞作品などが公開される。

開場式では各関係者があいさつし、地震で傷ついた心を癒やすために作品を鑑賞するよう呼び掛けた。会期は21日までで、入場は無料となっている。

美の力で復興再び 現美輪島展13日開幕

  ●漆芸美術館で開場式

 第80回現代美術展輪島展の開幕を翌日に控えた12日、輪島市の石川県輪島漆芸美術館で開場式が行われ、関係者約30人は「美」の力が被災地復興への原動力となるよう願いを込めた。能登半島地震の発生から半年余り。出席者は、終戦2カ月後に開かれ「戦後60日の奇跡」と呼ばれた第1回現美に思いを重ね、地元作家が被災生活を送りながら手掛けた渾身(こんしん)の作品に真剣なまなざしを向けた。

 現美の第1回展は1945(昭和20)年10月に金沢で開かれた。ふるさとの戦後復興を後押ししようと作家が力を結集し、県民に希望をもたらした。

 輪島展は県内5市で開かれる巡回展の一つで、昨年70年ぶりに復活した。地震で甚大な被害を受けた奥能登で唯一の開催地となる。一般財団法人県美術文化協会、北國新聞社、一般財団法人県芸術文化協会、輪島市、北陸放送、テレビ金沢が主催する。

 会場の展示ケースが破損したため、昨年71点だった展示数は35点に絞った。日本画、洋画、彫刻、工芸、書、写真の計6分野で、前史雄(沈金)、小森邦衞(髹漆(きゅうしつ))、山岸一男(沈金)の地元人間国宝3氏の優品をはじめ、輪島在住16人の作品や、入賞作などが公開される。

 開場式では、砂塚隆広北國新聞社社長があいさつ。坂口茂市長は「輪島展を途絶えさせてはいけないという強い思いがあった。『復興への一里塚』との思いで準備を進めてきた」とした上で、「作家にとって挑戦する心が復興につながる。作品を鑑賞して地震で傷ついた心を癒やしてほしい」と呼び掛けた。県美文協の大場吉美理事長らが加わってテープカットした。

 輪島展の開催を巡っては、4月に金沢市で開かれた現美開催記念パーティーの席上、県美文協の飛田秀一会長(北國新聞社名誉会長)が「復興への一歩を踏み出す原動力になる」と実施への協力を呼び掛け、これに坂口市長が呼応し準備を進めてきた。

  ●入場は無料

 会期は21日まで。市民やボランティア、復旧事業の関係者ら多くの人に鑑賞してもらうため、入場は無料とする。