2024年の宇宙、どうでしょう? (7-12月の宇宙探査・開発編)

AI要約

日本の宇宙開発において、様々な成功や進展が見られる。地球観測、新型ロケット打ち上げ成功、次世代補給機など、積極的な取り組みが続いている。

海外でも、スペースXや中国の宇宙探査など、多くの国が新しいロケットやミッションを進めている。欧州の新型ロケット打ち上げやオーストラリアの初の人工衛星ロケットなど、注目すべきプロジェクトが進行中。

2024年後半戦では、宇宙に関する興味深いニュースや進展が続々と報告されており、宇宙探査・開発に目が離せない時期となっている。

2024年の宇宙、どうでしょう? (7-12月の宇宙探査・開発編)

「宇宙、どうでしょう」。前回の星空編につづいて、宇宙探査・開発編でございます。

■宇宙開発の話題、2024年後半戦(7~12月)

スペースXのような民間と、米中ロ日欧以外の国もロケット打ち上げに参画し、宇宙開発の話題も追いかけるのがどんどん大変になっています。そのぶん、このチェックは大切かなということで、またまたSPACEFLIGHT NOWやSPACE.COMを見ながら書いていきますよ。

あ、その前に日本の話題から

■日本の宇宙開発

5月には、EarthCARE(はくりゅう)が、スペースXのロケットで軌道投入成功しました。さっそく、梅雨前線の精密観測などのデータの取得などを始めています。データをもとに研究をすすめ、災害などの低減に力を発揮してほしいですな。

7月には新世代主力ロケット「H3」は3号機の打ち上げ成功。初号機の失敗のあと、2号機で修正し、そして、本格運用になる今回、能登地震でも活躍した光学探査衛星ALOS-2(だいち2号)の後継機「だいち4号」があがったのは朗報でございますな。

さて、今後の予定としては、今年度中にH3は4号機と5号機の打ち上げが予定されて、防衛用通信衛星と、準天頂衛星システムの構成衛星が予定しています。

そして、その次は、国際宇宙ステーション(ISS)の次世代補給機、こうのとりの後継のHTV-Xが待っているわけですな。チャレンジが続きますが盛り返してきた感じではありますな。

また、JAXAさんの計画を見ますと、来年度になりますが、深宇宙探査衛星の「DESTINY+」、これまた延期になっている火星探査機「MMX」が待っています。また、中期計画では赤外線宇宙衛星「SPICA」がスタンバイしておりますな。欧州宇宙機関といっしょに、この連載第241回でご紹介したジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)と同じL2点に配置する予定です。日本の赤外線研究は世界でもトップレベルなので早くプロジェクトが進捗してほしいですなー。

日本は他に、インターステラテクノジ社さんがあります。低軌道なら800kgの人工衛星打ち上げ能力を目指すZEROも開発中です。ホリエモンが出資していることで有名な会社ですが、ちゃくちゃくと実績をあげているのがわかりますなー。

また、キヤノン、IHIなどがかかわるスペースワン社のカイロスロケットは、打ち上げに失敗しましたが、次を目指しています。

■海外はどうかな?

ロケット打ち上げの実績では、あいかわらずイーロン・マスク率いるスペースX社が図抜けています。また、中国も事故がめだつものの、嫦娥6号の月の裏側からの史上初のサンプルリターン成功など、ものすごい勢いで進展していますね。他もずいぶんたくさんのミッションが予定されています。東明的ハイライトをご紹介しますね。

■7月10日 欧州の新型ロケットアリアン6打ち上げ

この記事の方が後になっちゃいそうですが、欧州の新型ロケット、アリアン6の打ち上げが10日未明に予定されてます。静止遷移軌道に最大10トン以上の衛星を打ち上げられるという巨大ロケット。さあ、成功するでしょうか?。間に合わないかもですが、中継のURLはhttps://youtu.be/B0oFpOJaIYcです。今回は一発目ということもあり、超小型衛星9と実験装置5の打ち上げとなっています。

■7月中? オーストラリアのErisロケット打ち上げ

オーストラリアのギルモアスペース社のErisロケットの試験打ち上げがまっています。オーストラリア初の人工衛星ロケットになります。4月12日のリリースでは、発射の許可待ちとされていましたが、そろそろではないかと。

■7~9月 ドリームチェーサー1のデモフライト

シエラ・スペースの、有翼の宇宙輸送機ドリームチェーサー1のデモフライトが予定されております。今年はじめと予定されていたのがずいぶん遅れていますね。

しかし、有翼の宇宙機。スペースシャトル退役後は「いや、翼なんて無意味ですよ、偉い人には……」的な話でしたが、いやいやなかなかやるんですねー。

ということで、2024年後半戦も宇宙を楽しんで参りましょう。

■ 東明六郎

しののめろくろう 科学系キュレーター。

あっちの話題と、こっちの情報をくっつけて、おもしろくする業界の人。天文、宇宙系を主なフィールドとする。天文ニュースがあると、突然忙しくなり、生き生きする。年齢不詳で、アイドルのコンサートにも行くミーハーだが、まさかのあんな科学者とも知り合い。安く買える新書を愛し、一度本や資料を読むと、どこに何が書いてあったか覚えるのが特技。だが、細かい内容はその場で忘れる。