祭りの担い手確保へ SNS募集、出身者呼びかけ…「お助け隊」発足した県も

AI要約

熊本に秋を告げる藤崎八旛宮の例大祭が13日に始まり、新町獅子保存会の獅子飾卸で幕開け。高齢化に悩まされる担い手不足と伝統継承の取り組みが課題となっています。

山都町の八朔祭でも担い手不足が深刻で、祭りの未来に危機感を抱くメンバーたちが若手を呼びかけ、地域を離れた人たちも参加を促す取り組みが行われています。

地域の伝統行事の担い手不足を解消するため、福岡県では「地域伝統行事お助け隊」を設立し、祭りの継続を支援しています。各地で次世代への継承に向けた取り組みが続いています。

祭りの担い手確保へ SNS募集、出身者呼びかけ…「お助け隊」発足した県も

 熊本に秋を告げる藤崎八旛宮の例大祭が13日に始まりました。初日は、新町獅子保存会の獅子飾卸で幕開け。赤と黄色の獅子が、篠笛や太鼓、銅鑼にあわせ「天拝」と「牡丹の舞」を奉納しました。

 熊本城が築城された1607年頃に誕生したと伝えられる新町獅子舞は、藤崎八旛宮が藤崎台にあった時代から奉納を続けてきましたが、担い手の高齢化に悩まされています。保存会によると、会員の多くが50代以上で若手が少ないとのこと。とくに、コロナ禍の影響が大きく、新たな加入の動きが途絶えたといいます。

 何とか伝統をつなごうと、昨年度には、会員募集の動画を制作。SNSも活用して地域外からも広く参加を呼びかけてきました。16日の随兵行列には子どもたちも加わり、80人程度で盛り上げる予定ですが、引き続き、担い手確保に力を入れたいとしています。

 担い手不足は、8日に行われた熊本県山都町の八朔祭でも深刻です。商店街の青年部が担っている仲町神輿会は、かつて20代後半から30代前半だった平均年齢が、今では40代以上に。本祭で神輿上げをする団体も仲町神輿会だけになりました。

 20人ほどのメンバーの中には、就職で町を離れた人も。藤川康輔さん(46)は、夏休みをずらしたり特別休暇をとって、熊本市から参加しています。そんな藤川さんも「参加してもらうまでのハードルが高い。見るのも最近は減っているように感じる。これから先、入ってくる人がいなかったら、なくなる運命にある」と危惧しています。

 全国の祭りの活性化を目指すマツリズムの2023年調査によると「祭りはなくなってほしくない」が74%の一方で「参加したくない」は65%という結果に。

 仲町神輿会実行委員長の田上廉さん(32)も「以前は、祭りに出ることが若者のステータスだったけど、今の若い人たちは、祭りを見たこともないという人も多い」と話します。

 高齢化率が50%を超え、過疎化も進む山都町では、様々な担い手不足が課題となっています。こうしたなか、仲町神輿会では今年、地元を離れた人にも祭りへの参加を呼びかけることに。若手メンバーが同級生などに声をかけて、約110人で神輿上げを実施できました。

 藤川さんらは「今年の参加者たちに思いが伝われば、また来年も参加したいと思ってくれるはずなので、あきらめずに、アピールしていきたい」と話しています。

 地域の伝統行事の担い手不足が課題となる中、行政も対策に乗り出しています。福岡県では、2023年に「地域伝統行事お助け隊」をスタート。北九州市の小倉祇園祭の神輿や飯塚市の飯塚山笠など15行事から派遣の要請があり、県外在住者を含め280人近くが登録しています。

 地域の住民が担ってきた伝統行事を、どう次の世代につなげていくか。各地で試行錯誤が続いています。