学校公認でアルバイト、地場企業バスツアーも…地元就職を支援 中高生向け取り組み続々

AI要約
諫早市で人手不足対策として新たな取り組みが行われている。諫早青年会議所は中高生対象のバスツアーを開催し、地元企業の魅力を伝えている。また、市旅館ホテル業組合は高校生向けの報酬付き就業体験事業を始め、施設側は即戦力を獲得し、生徒はマナーを学びながら報酬を得ることができる。
学校公認でアルバイト、地場企業バスツアーも…地元就職を支援 中高生向け取り組み続々

 人手不足が長引く中、人口流出に歯止めをかけ、若い世代に地元で働いてもらう契機をつくろうと、長崎県諫早市で新たな取り組みが相次いでいる。諫早青年会議所(JC)は、地場企業の業務内容や雰囲気を肌で感じられる中高生対象のバスツアーを開催。市旅館ホテル業組合は市内の私立高と協力し、高校生向けの報酬付き就業体験事業を始めた。 (今井知可子)

 諫早JCは8月31日、「あなたの就職を全力応援!諫早の企業の魅力を発見」と銘打ったバスツアーを実施。中高生30人超が参加し、それぞれ3社を訪問した。

 生徒たちは、発泡スチロール製造の「九州化成工業」で、タイやマグロなど魚種別の保冷容器のほか、工業製品の緩衝材、住宅の地盤改良材など多業種に出荷していることを学んだ。木材卸売業の「タカシマホールディングス」では、住宅模型の組み立てを体験。すしチェーン店「若竹丸」では、食品ロスを減らす取り組みのほか、年収や勤務時間など具体的な待遇についても熱心に聞いていた。

 長崎日大中3年、今里勇翔さん(14)は学校で新聞部に所属しており、取材を兼ねて参加。「初めて知る企業もあったが、それぞれに力仕事の大変さや業務改善の工夫などを聞くことができた」と話した。

 バスツアーを企画した諫早JCの久米孝明さん(36)は、高校生までに地元企業を知ることで地元での就職率が異なるという調査データに触発されたという。自身が働く不動産業に限らず、どの業界も人手不足に苦しんでいる。「進学などで離れた若い世代が、いつか諫早で働きたいと思い出すような、そんな転機になれば」と願う。

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 人手不足の現場で地元の高校生に働いてもらおうと、より直接的な取り組みも始まった。市旅館ホテル業組合は3日、市内の私立高3校(鎮西学院、創成館、長崎日大)と報酬付き就業体験「のんのこインターンシップ」の提携を結んだ。

 学校の公認を得た上で、生徒に組合加盟の宿泊施設でアルバイトをしてもらうことで、施設側は即戦力を獲得。生徒はマナーを学びながら報酬を得て、学費など家庭の負担軽減につなげる。学校側は生徒の就労体験の場を得られる-という仕組みを目指す。

 生徒は本分である学業を圧迫しないよう放課後や休日に働く。組合は接客マナーや社会人心得などのセミナーを実施。現場でのトラブルやハラスメントがあった際には学校も交えて事実確認し、対応策を練る。

 鎮西学院高の川崎健校長は「家計が厳しくアルバイトが必要な生徒も増えている。既に4人の生徒が希望して就業した」と話す。創成館高の奥田修史校長は「地元ホテルという信頼できる場で働けて、進学の際にも体験をアピールできる。高校にとってはありがたい制度」と受け止める。

 組合の本田一修組合長は「施設に空室があってもスタッフが足りず受け入れられないほど、人手不足は常態化している。組合として取り組むことで安心感を持ってもらい、ホテル業界で働く楽しみを知ってほしい」と期待する。