「近くて遠い島」実感 北方領土学ぶ富山県内中学生視察団が納沙布岬に、返還への思い強く

AI要約

北方領土青少年現地視察事業の2日目。富山県の中学生18人が北海道根室市で現地視察を行い、納沙布岬から北方領土を眺めることで「近くて遠い島」の実感を持った。

元島民の講話を聞いた生徒たちは、領土返還への思いを強くした。高齢化する元島民など、問題の複雑さに触れ、若い世代の関心の高まりに期待が寄せられた。

生徒たちは北方領土の返還後に何をしたいか、島での暮らしを知るべく熱心に質問。彼らは今後自分たちに何ができるのかを考える覚悟を固めた。

「近くて遠い島」実感 北方領土学ぶ富山県内中学生視察団が納沙布岬に、返還への思い強く

 北方領土青少年現地視察事業は2日目の20日、北海道根室市で行われ、富山県内の中学生18人が納沙布(のさっぷ)岬から北方領土を望み「近くて遠い島」を実感した。元島民による講話もあり、領土返還への思いを強くした。

 この日は晴れ、納沙布岬から3・7キロ先の歯舞群島の貝殻島や国後島をはっきり見ることができた。射水市新湊中2年の佐賀幸翔さんは「これだけ近いのに行けない。不法占拠されているのは悲しい」と話した。

 根室市の北方四島交流センターでは、黒部市出身の祖父を持つ色丹(しこたん)島出身の得能宏さん(90)の講話を聞いた。11歳の時、旧ソ連軍が色丹島に押し寄せた当時を「兵隊は機関銃を持っていた。反抗すると撃たれると思った」と振り返った。

 ロシアのウクライナ侵攻後、日本とのビザなし交流や平和条約締結交渉は中断されたまま。元島民が高齢化する中、得能さんは「領土問題の解決は何年かかるか分からない」とし、若い世代の関心の高まりに期待を寄せた。

 生徒たちはメモを取り「北方領土が返還されたら何をしたいか」「島にいた頃の暮らしはどうだったか」と熱心に質問した。高岡市中田中3年の高桑啓悟さんは「思いをしっかり受け止め、私たちはこれから何ができるのかを考えたい」と誓った。