ストーカー被害、北海道内深刻 23年の「禁止命令」5年で最多 SNS要因

AI要約

禁止命令が増加する中、道内でストーカー被害が深刻化している。

ネットストーカーの存在も問題視され、被害者の心理的苦痛が増している。

専門家は加害者への治療を重要視し、より効果的な対策が必要だと指摘している。

ストーカー被害、北海道内深刻 23年の「禁止命令」5年で最多 SNS要因

 ストーカー規制法に基づき、被害者への接触を禁じる「禁止命令」は道内で2023年に49件に上り、過去5年間で最多だったことが19日、道警への取材で分かった。近年は交流サイト(SNS)などを使い、インターネット上で付きまとう「ネットストーカー」の被害が深刻化し、全体を押し上げているとみられる。被害を防ぐため、専門家は「加害者を確実に治療につなぐ仕組みづくりが急務だ」と指摘する。

 「恐怖で生きるのが苦しかった」。元交際相手の男性から数年前、ストーカー被害に遭った道内の30代女性は声を震わせる。飲食店で知り合い、交際して間もなく暴力を振るわれた。「別れたい」と伝えると、男性は自宅や職場に押しかけ、玄関に灯油をまくなど嫌がらせを続けたという。

 男性は、女性の名前や顔写真、電話番号をSNSに無断で公開し、見知らぬ人から連絡が届くようになった。女性が通報し、男性は禁止命令を受けた一方、交際当時に渡した合鍵は返ってこない。「気に入らないことが起きると、たがが外れたように攻撃する。殺されていたかも」と話す。

 禁止命令は、警察からの「警告」を無視し、ストーカーを繰り返した人に出され、違反した場合に罰則規定がある。17年施行の改正法で、加害者から弁明を聞く「聴聞」や警告が不要の緊急禁止命令を導入。道警によると、緊急を含む禁止命令は19~23年の過去5年間で2・2倍に増えた。全国は同期間で1・4倍にとどまり、増加ペースは道内が全国を上回る。