NY郊外で全米初のマスク禁止条例…コロナ再流行なのになぜ?

AI要約

ニューヨーク州のナッソー郡でマスク禁止条例が施行されることになり、その理由として議論が巻き起こっている。CDCの報告によると全米でウイルスの検出レベルが高い州が増加しており、ニューヨークでも感染拡大傾向がみられる。

マスク禁止は窃盗や反ユダヤ的な事件への対応が主な理由であり、特に都市部での犯罪や学生運動におけるマスク利用が問題視されている。しかし、警察との関係や言論の自由を損なう可能性も指摘されている。

マスク禁止が犯罪防止に効果的かどうか疑問が呈され、一方で健康状態や個人の権利を考慮する必要があるという議論もなされている。

NY郊外で全米初のマスク禁止条例…コロナ再流行なのになぜ?

【ニューヨークからお届けします】

 ニューヨーク州郊外のナッソー郡で、アメリカ国内で初めてマスク禁止条例が施行され、公共の場でマスクを着用した場合、1年以下の懲役と1000ドルの罰金が課されることになりました。でもコロナ再流行中の今、マスク着用を禁止にする理由は何? と全米で大論争が巻き起こっています。

 CDC(米疾病予防管理センター)によると、8月9日現在、アメリカの27の州の下水から「非常に高い 」レベルのウイルスが検出され、さらに17の州で「高い 」レベルが報告されています。

 ニューヨークは州全体としては「中程度」ですが、中心部マンハッタンを含む5つの区では、6月から8月にかけて感染レベルが上昇しています。

 問題のナッソー郡は、ニューヨーク市に隣接するマンハッタンへの通勤圏内。職場からコロナを持ち帰る可能性も少なくありません。

 ところが実は、今回のマスク禁止はコロナとは全く関係のない理由から施行されたものです。コロナなどの感染症にかかっている場合、宗教的な理由でのマスク着用は認められています。

 ナッソー郡議会の議員によれば、マスク禁止は「マスクをした人々によって引き起こされる事件や、反ユダヤ的な事件」に対応するためだといいます。

 確かにニューヨーク市内や近郊では、窃盗犯罪の容疑者が顔をマスクを隠すのが問題になっています。また筆者が頻繁に取材する親パレスチナの学生運動では、たとえ平和的なものであっても、学校からの処分を恐れマスク着用する学生も少なくありません。

 とはいえ、マスクをしているだけで警察に職質されるのを恐れ、体調が悪いのにマスクを避ける人も増えるのが懸念されています。また言論の自由の表現である抗議運動を、抑圧する意図もあるとの批判もあります。

 そもそもこれで、本当に窃盗などの犯罪が防げるのかという疑問の声も高まっています。

(シェリーめぐみ/ジャーナリスト、ミレニアル・Z世代評論家)