鋼船製造・修理業者のクレサービス(広島)が特別清算

AI要約

(株)クレサービスは、鋼船製造・修理業者として過去の実績を持ちながら、債務超過に陥り、最終的に特別清算開始命令を受けることとなった。

設備投資を進める一方で競合や海運市況の影響に苦しんでおり、新造船事業からの撤退など再建策を模索してきたが、結果的に解散することとなった。

負債は膨らんでおり、業界の厳しい状況の中で存続が難しい状況にあった。

 (株) クレサービス〈旧商号:(株)神田造船所、TDB企業コード:600019411、資本金6500万円、旧登記面=広島県呉市吉浦新町1-6-21、登記面=東京都千代田区丸の内1-9-2、代表清算人神田慎一郎氏〉は、8月5日に東京地裁より特別清算開始命令を受けた。

 当社は、1937年(昭和12年)3月創業、48年(昭和23年)10月に法人改組された鋼船製造・修理業者。呉市川尻町に川尻工場および川尻第二工場、若葉町に若葉工場を置き、大手商社や海外船主向けに大型船舶の建造および修繕を手掛け、瀬戸内周辺の造船所の中では中堅程度に位置づけられていた。

 2006年頃には増産体制に伴う生産効率アップを目的に設備投資を積極化し、川尻第二工場として艤装工場が完成。また、合理化への設備投資として大型の固定式クレーンを設置、2007年にはブロック製造を内製化する目的で船殻ブロック工場が完成し、建造能力は年間7隻前後まで高まり、2011年3月期には年売上高約361億8700万円を計上していた。

 しかし、世界的な船舶需給のバランスが崩れるなか、海外造船業者との価格競争が激化し、新造船受注は採算割れを余儀なくされ、2014年3月期には約29億300万円、2015年3月期には約40億400万円の当期純損失を計上し、債務超過に陥っていた。

 2016年には、デット・デット・スワップを行い、金融機関からの支援を受けながら、増減資を実施し、再生を目指していたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による海運市況の低迷のほか、競合先の台頭により、新造船事業からの撤退を余儀なくされ、2022年3月期の年売上高は約66億5800万円に落ち込んでいた。

 その後、大規模な人員削減を実施して、船舶修繕事業のみを2022年4月1日に設立された神田ドッグ(株)(TDB企業コード:738060382、資本金1000万円、呉市川尻町東2-14-21、代表中井利文氏)が引き継ぎ、当社は2024年4月30日株主総会の決議により解散。5月11日に本店(登記面)住所を呉市から現所に移転させていた。

 負債は2024年3月期末時点で約109億4700万円。