故人掛衣に手合わす 朝田寺で地蔵会式 三重・松阪

AI要約

三重県松阪市朝田町の朝田寺で、故人の衣類を本堂の天井に掛けて弔う「掛衣」の朝田地蔵会式が行われている。

遺族らが初盆や三回忌を迎えた際に連日、故人を供養するために訪れている。

本堂には今年亡くなった人の約300着の衣類が掛けられ、地蔵会式には多くの遺族が参加している。

故人掛衣に手合わす 朝田寺で地蔵会式 三重・松阪

 三重県松阪市朝田町の朝田寺(髙橋義海住職)で、故人の衣類を本堂の天井に掛けて弔う「掛衣(かけえ)」の朝田地蔵会式が行われており、初盆や三回忌を迎えた遺族らが連日、回向に訪れている。23日まで。

 同寺は国重要文化財の地蔵菩薩(ぼさつ)を本尊とし、宗派にかかわらず故人の極楽浄土への旅立ちを願い、葬式を終えた遺族らが持ち込んだ故人の衣類を本堂の天井につるして念仏を唱える「道明け供養」を300年以上前から毎年行っている。

 葬儀が終わると故人の衣類を本堂天井につるし、初盆には衣類の掛かった本堂で改めて故人の冥福を祈る。23日午後9時半に厨子(ずし)を閉じる「閉帳の儀」を行い、故人の衣類を受け取った家族による「おたき上げ」で、先祖の魂が天に帰る。

 本堂には今年亡くなった人の約300着の衣類が掛けられており、地蔵会式には供養のため、市内の人を中心に地蔵盆の8日間で毎年多くの遺族が訪れる。

 家族でお参りに来ていた瀧口祐子さん(62)=垣鼻町=は「実母が3月に亡くなりました。好きでよく着ていたグレーのチュニックを掛けました。あちらで楽しく暮らしているんじゃないかなと思います」と天井に掛かる服に手を合わせ故人をしのんだ。

 髙橋住職(52)は「地蔵は亡くなった人を極楽に導く仏です。この辺りには掛衣のような風習は他にない。温かい風習だと思います」と話した。

 23日午後7~9時は松阪しょんがい音頭・踊り保存会による盆踊りや、採灯護摩供(火渡り)を開催予定。また同7時半~9時には精霊供養花火も打ち上げられる。

 詳しい問い合わせは、朝田寺TEL 0598(51)8661 へ。