南海トラフ地震臨時情報「備えの意識を1段階高めて」 大分大の鶴成教授「買い占めなど社会的混乱招かぬ冷静な対応を」

AI要約

南海トラフ地震の特徴と注意情報についての解説

南海トラフ地震臨時情報が何を意味するか

住民が取るべき行動と注意すべきポイント

南海トラフ地震臨時情報「備えの意識を1段階高めて」 大分大の鶴成教授「買い占めなど社会的混乱招かぬ冷静な対応を」

 日向灘を震源に起きた8日の地震で、気象庁は初めて「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表した。何に気を付け、どう行動すればよいのか。大分大減災・復興デザイン教育研究センター長の鶴成悦久(つるなり・よしひさ)教授(47)に聞いた。

 ―今回の地震の特徴は。

 「南海トラフ地震の想定震源域の西の端で、マグニチュード(M)7・1の規模の地震が起きた。震源域の一部分が割れ、連動して大地震を引き起こす恐れがあるので臨時情報を出して注意喚起をしている」

 「世界的な統計では、M7・0以上の地震が発生すると7日以内に再び大規模地震が起きる可能性が平常時より高くなる。ただ、過去にあった日向灘の地震で、国が想定するような巨大地震につながった例はこれまでない」

 ―南海トラフ地震臨時情報とは何か。

 「起きた地震が南海トラフ地震と関係するかどうかを調査し、事前の避難や備えにつなげてもらうために気象庁が発表している。M8・0以上だったら『巨大地震警戒』の情報が出され、沿岸の対象地域で避難が難しい高齢者らは1週間の事前避難を求められる」

 「今回は1ランク下の『巨大地震注意』だった。この場合、具体的にどう行動していくかがあいまいで、住民に伝えられていなかったのは課題の一つだろう」

 ―注意情報を受け、住民が取るべき行動は。

 「沿岸部の人たちは通常から避難訓練などに取り組んでおり、防災意識は低くない。実際に起きた時に対応できるよう、避難経路の確認や水の確保、家族の連絡態勢といった基本的な備えを再認識してもらうのが大事だ。備えの意識を1段階高めてほしい」

 「今回は盆期間というのもポイント。帰省者や観光客に対して、避難先などを伝えていく必要がある。家族だけでなく、観光業者も考えていかなければならない」

 「買い占めなどの衝動的な行動に走ったりせず、社会的混乱を招かないよう冷静な対応をお願いしたい」