富士登山者減もトラブル頻発 不急の救助要請、弾丸登山、騒音… 混雑のお盆前に警戒

AI要約

今年の富士山登山シーズンは死者数が前年を上回る状況で、混雑やマナー問題への警戒が高まっている。

登山者数は減少傾向にありながらも、救助要請や通報は増加しており、救助隊員の負担が大きくなっている。

外国人登山者の割合が増加し、マナー問題も改善されていない状況が続いている。

富士登山者減もトラブル頻発 不急の救助要請、弾丸登山、騒音… 混雑のお盆前に警戒

 7月10日の開山から静岡県側の死者数が4人と、既に前年開山期の死者数を上回っている今年の富士山。登山者数は昨年よりも少なく推移しているものの、軽装での登山や弾丸登山を試みる姿が相次いで目撃されている。混雑が予測されるお盆が目前に迫り、登山関係者は救助事案やマナートラブルが多発しないか警戒感を強めている。

 環境省の集計によると、7月の静岡県側登山者数は昨年同期比で4・9%減となった。県警集計の遭難発生件数も同月28日時点で24件と昨年同期比3件減に落ち着いているが、救助隊員らは「出動件数の2倍超の通報がある」と実態を話す。仲間とはぐれたといった不急とみられる要請の対応にも人員が割かれるという。

 疲労で動けないとの通報に対しては、その場で休息を促すなど出動をいったん見合わせている。救助中に容体が回復して自力での下山を促すこともあるというが、隊員の1人は「(自力での下山を)拒まれた場合、最後まで隊員が付き添わなければならない。対応中に別で大事故が起きないことを祈るしかない」と明かす。

 登山者の絶対数が減っているとの集計がある一方で、県独自の目視による調査では外国人の割合が高まった。深夜の富士宮口では観光バスで5合目まで乗り付けるアジア人団体が目撃されるなど、県が自粛を求めている弾丸登山は後を絶たない。8合目池田館の池田裕之代表は今年も就寝中の騒音トラブルが頻発しているといい、「良識のある登山者が自粛してくれているだけで、マナー問題は改善されていない」と嘆く。

 救助出動の増加は麓の市民生活にも支障を来しかねない。警察、消防の救助隊員は基本的に日常業務と兼務しているため、出動時は交番業務などを中断せねばならない。救急車も最低2時間は街を離れる。隊員らは「お盆は帰省者や観光客もいるし、熱中症対応もある。登山は自己責任。無理をしないでほしい」と口をそろえる。

 (富士宮支局・国本啓志郎)