明日へ(7月30日)

AI要約

東京オリンピック柔道女子52キロ級での大番狂わせを報じる。有力候補が2回戦で一本負けし、金メダルに届かず。不可解な勝負の流れに呆然とする瞬間を描く。

過去の震災と原発事故から学びを得て、日常が崩れる瞬間のはかなさを語る。常に災害への備えを心がけることの重要性を示唆。

阿部選手の挫折を通じ、弱さを認めつつも再起への決意を示す。一歩一歩前進し、明日への希望を築く姿勢を称賛する。

 まさかは「目の前」を指す。打ち消しや反語を伴うと、「よもや」「いくらなんでも」の意味に。目先の出来事がにわかに信じられない。呆然の心持ちか▼柔道史に残る大番狂わせと報じられた。パリ五輪女子52キロ級で、東京大会に続く「金」を目指した阿部詩選手。絶対的な優勝候補は2回戦で技ありを奪い、有利に試合を進めていた。盤石と映ったのだが…。できることなら、時間を巻き戻したい。残り1分。わずかなすきをつかれ、一本負けを喫した。きまぐれな勝負の神様のいたずらだろう。熱暑の列島の夜を「まさか」が覆った▼一瞬にして目の前の世界が崩れる。13年前の震災と原発事故は、世のはかなさを教えた。安穏な暮らし、いとしい故郷、絆をつむいだ友…。あの日。「14時46分」の打刻が奪い去った宝は大きすぎて、いまだに言葉では表し切れない。日常はあっけなく途切れる。常に備えを。災厄の教訓を何度もかみしめる▼阿部選手は「勝ち切れなかった私がすごく弱い」と悔やんだ。4年後にはロス大会が待っている。きょうだいで手を取り、再び前へ。一歩の積み重ねこそ、揺るぎない明日を築く。そう証明した、わが県民が優しく背中を押す。<2024・7・30>