なぜ、生きるのか(7月21日)

AI要約

古代から人を悩ませてきた「人はなぜ、生きるのか」という問いについて、谷川俊太郎さんの詩集「生きてるってどういうこと?」が取り上げられている。若者の心の迷宮や不登校の問題を通じて、生きる意味や幸福について考えさせられる。

作中の詩には、日々の暮らしや自然との触れ合いの中に真の宝があるというメッセージが含まれており、家族や友人との時間を大切にすることの重要性が語られている。

92歳の谷川俊太郎さんからのメッセージを通じて、生きる意味を見つけるためには、手を差し伸べ、周囲と繋がり、心を解き放つことが大切であることが示唆されている。

 「人はなぜ、生きるのか」。古代から人を悩ませてきた。答えを見いだせないまま、果てしない迷宮の中で堂々巡りを繰り返す若者も少なくない▼谷川俊太郎さんは詩作を通じて、この重い問いと向き合い続けてきた。4月に出版した作品集のタイトルは「生きてるってどういうこと?」。「生きる力」「幸福」をテーマにした18編を美しい挿絵と共に収めている。共感を呼び、早くも重版された。「読者の心が動くよう本の題名を疑問形にした」と、あとがきで明かしている。問いを解く鍵が、作中にあるのだろうか▼国の2年前の調査によると、不登校の小中学生は全国で30万人に上った。県内は約3500人で、前年より2割増えている。原因の多くは「無気力・不安」にあるとされた。なぜ、生きるのか。歩む道を見いだせず、うつむいたままの青春の日々が浮かぶ▼〈ほんとうの宝は/日々の暮らしの中にひそむ〉。かの作品集にある。長い学校の夏休みが始まった。家族や友人との語らいや、身の回りの自然とのふれ合いに心が解き放たれるといい。答えは手を差し伸べさえすれば、つかめるのかもしれない。92歳を迎えた言葉の魔術師からのメッセージ―。<2024・7・21>