「こんな生活を続けていたら40歳くらいで死んじゃう」過酷な研修医時代に心療内科医が見つけた"究極の休息法"

AI要約

心療内科医の海原純子さんが忙しい現代人へのリラックス法について語る。

海原純子さんのアロマテラピーに対する関心と体験が紹介される。

香りの効果や天然の精油の重要性について解説される。

現代人は忙しい。多くの人が仕事や育児、介護に追われている。心療内科医の海原純子さんは「良いパフォーマンスをするためには、休息時間は必須だ。給料から貯金分を天引きするのと同じように、リラックスのための時間をあらかじめ確保しておくといい」という――。

 ※本稿は、海原純子『幸福力 幸せを生み出す方法』(潮出版社)の一部を再編集したものです。

■「こんな生活を続けていたら、40歳くらいで死んじゃうな」

 私がさまざまなリラックス法を試すようになったのは、大学病院に勤めていた20代のころです。多忙を極める医局での毎日は、「休息するな」というのが基本。研修医時代は、3日連続で医局に泊まり込むことも珍しくありませんでした。「こんな生活を続けていたら、40歳ぐらいで死んじゃうな」と感じていたので、少しでも時間があると、マッサージやエステに行って体を手入れしていました。そんなわけで、リラックス法については、もともと関心が高かったのです。

 そうやっていろいろな方法を探求するうちに、「香り」の効果に関心をいだくようになりました。医療分野で使われている「メディカル・アロマテラピー」を勉強しようと思い立ち、フランスに行ったのは、30年ほど前のことです。アロマテラピーとは植物から抽出(ちゅうしゅつ)した精油(せいゆ)を使う芳香(ほうこう)療法で、なかでもフランスのメディカル・アロマテラピーは、医師の処方箋(しょほうせん)にもとづいた本格的なものです。それだけに効果も絶大で、疲れたときに精油の香りを嗅(か)ぐと、驚くほど元気になります。

■目を見張るほどの「香り」の効果

 なぜ、香りにはこれほどの効果があるのでしょうか。それは、鼻の粘膜にある嗅(きゅう)細胞が、自律神経系のコントロールセンターである大脳辺縁系に直接働きかけるからです。嗅細胞は神経細胞ですから、香りを嗅ぐと、その刺激によってすぐに副交感神経が作動し、心と体を癒してくれるのです。鼻から入った香りの刺激は、瞬時に大脳辺縁系に達してしまうので、その効果は目を見張るものがあります。どんなに頭が固いオジサマでも、上質の香りを嗅ぐと一瞬で表情が変わるのがわかります。

 私は疲れているときは、パリの薬局で買ったラベンダーの精油をハンドバッグのなかに忍ばせています。ここで注意したいのは、天然の精油を使うこと。人工的に合成された香りは化学物質の塊(かたまり)なので、お勧めできません。アロマテラピー・ショップに行って、天然もしくは無農薬栽培の植物を使ったものかどうかを、しっかり確認しましょう。「天然の植物を水蒸気蒸留(じょうりゅう)したものはありますか」と聞きながら探すとよいでしょう。

 気に入った精油を見つけたら、ティッシュに一滴たらし、香りを楽しみましょう。これもフランスのメディカル・アロマテラピーの先生から聞いた方法です。わざわざアロマポットを買ってきて焚(た)かなくちゃと思わなくて大丈夫。ただし、お風呂に入れるのはお勧めできません。精油は湯のなかで油膜(ゆまく)を作り、高濃度のままプカプカと浮かびます。その状態で肌についてしまうと、刺激が強すぎるので注意が必要です。