只見線、目標前倒し達成 23年度、1日平均乗客数103人

AI要約

JR東日本は19日、2023年度の1キロ当たりの1日平均乗客数(輸送密度)を路線別に発表した。只見線が過去4年で乗客数を倍増させ、目標を達成したことや、復旧後もにぎわいを持続させる取り組みが注目されている。

一方、4路線9区間全てで乗客数が増加したものの、千人未満の輸送密度で存廃検討が進む中、県や自治体は利活用促進に向けた協議を進めている。

JR東全体では、千人未満の区間が26%に上る中、国や地域は存廃の協議に入るべき路線を検討している。

只見線、目標前倒し達成 23年度、1日平均乗客数103人

 JR東日本は19日、2023年度の1キロ当たりの1日平均乗客数(輸送密度)を路線別に発表した。11年の新潟・福島豪雨に遭い、22年10月に再開通した只見線会津川口ー只見間(27・6キロ)は、被災前の10年度の49人から103人に倍増した。第2期只見線利活用計画(23~27年度)で掲げた「27年度100人」の目標を4年前倒しで達成し、利用促進の取り組みが奏功した形だ。県は目標の上方修正を検討する。

 同区間の22年度の1日平均乗客数は79人。この数字は22年9月までの代替バスの利用状況が含まれており、関係者は再開通後初めて発表される鉄道の通年実績に注目していた。

 昨年5月に新型コロナウイルスが感染症法上の5類に移行し、乗客数は全国的に増加。只見線は加えて、県や沿線自治体などでつくる利活用推進協議会が昨春策定した同計画に基づき、台湾を中心とする東アジアからの誘客や、駅から目的地まで移動する2次交通の整備に力を注いだ。一般に被災路線の復旧直後の祝賀ムードは一過性になることが多いものの、只見線はにぎわいを持続させている。

 一方、復旧当初に年2億~3億円を見込んだ維持管理費は労務単価や資材の高騰もあり、関係市町村を含む24年度負担額が4・9億円に膨らんだ。県は自治体の負担軽減を念頭に、国の有利な交付金を受けられる鉄道事業再構築事業を活用するため、10月までに実施計画を策定する方針だ。

 26年4~6月に本県で開催される大型観光企画「デスティネーションキャンペーン(DC)」を契機とした誘客強化や、オリジナル観光列車を導入する本格検討も並行して進める。県は「想像以上の実績だ。今後はいかに乗客数を維持、上乗せできるかが重要で、一層の利活用促進に取り組む」(生活交通課)としている。

 JR東日本が19日公表した2023年度の1キロ当たりの1日平均乗客数(輸送密度)では、只見線を含め利用者が少ない地方路線として収支を開示している水郡線、磐越西線、磐越東線の計4路線9区間全てで前年度に比べて増加したものの、磐越西線会津若松ー喜多方間を除き、存廃検討の目安とされる千人未満だった。

 4路線9区間と、新潟・福島豪雨被害に伴い個別の収支公表対象から除外されている只見線会津川口ー只見間の過去3年間の1日平均乗客数は【表】の通り。各区間で前年度に比べて4~43人増加した。唯一、輸送密度が千人を超えた会津若松ー喜多方間は1534人(前年度比43人増)だった。増加についてJR東は新型コロナウイルスの5類移行に伴う経済活動や観光需要の増加が要因とみている。

 JR東全体では、69路線203区間のうち、30路線53区間で輸送密度が千人未満となり、全区間数の26%を占めた。国は千人未満の区間に関し、事業者らの要請に応じて優先して存廃の協議入りするよう促しているが、県内の4路線9区間について、県や沿線自治体などは路線ごとの協議会で一層の利活用促進に向けた検討を進めている。