イベント参加でポイントたまり商品券と交換可能…10年続いた高齢者にうれしい県の福祉事業が一転廃止 存廃委ねられ「寝耳に水」と市町村からぼやく声 鹿児島

AI要約

65歳以上の高齢者支援プロジェクト「元気度アップ・ポイント事業」が廃止された経緯や影響について

プロジェクト内容や地域の対応、市町村ごとの差異についての概要

後継プロジェクトである「世代間交流で人生100年生きがい創出事業」についての展望と目的

イベント参加でポイントたまり商品券と交換可能…10年続いた高齢者にうれしい県の福祉事業が一転廃止 存廃委ねられ「寝耳に水」と市町村からぼやく声 鹿児島

 65歳以上の高齢者の自主的な健康づくりや社会参加を促す鹿児島県の「元気度アップ・ポイント事業」が4月に廃止された。体操やサロン、健康診断などへの参加で付与されるポイントをため、地域商品券などに交換できる仕組み。存続は市町村に委ねられ、自治体により差が生じている。種子島の1市2町では縮小、存続と分かれており、利用者からは「健康な高齢者を支える制度だった」と惜しむ声が聞かれる。

 事業は全国に先駆けて2012年度に開始。介護保険の一部を財源に取り組む市町村に、県がポイント交換額に一般財源で上乗せする。1人1000円を補助した23年度は、22市町村に対し1877万円を負担した。

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 地域サロン、グラウンドゴルフ大会、カラオケ、市民講座-。事業はポイント対象メニューの豊富さが売りだった。西之表市は県の廃止を機に、20を超えていた対象を「元気アップ体操」だけに絞った。担当課は「それぞれ利用者が固定化していた。介護予防に力を入れたい」と説明する。

 市の人口の1割近くに当たる約1200人が利用していた人気事業。6月の市議会一般質問でも取り上げられ、質疑した議員は「急な変更で、みんな残念がっている」と訴えた。

 中種子、南種子両町は「高齢者福祉は簡単にやめられない」と、町単独でメニューを維持して続ける。県の廃止に伴う予算増は数十万円程度と見込む。

 両町にとっても「廃止は寝耳に水だった」。ある担当者は「県から意向調査もなく、昨年末ごろ電話やメールで伝えられた」と明かす。新年度予算の編成が大詰めの時期だっただけに、「検討段階で話があるべき」「こんな時期にこういう分野を削るのか」とのぼやきも聞かれる。

 県の事業は、商品券への交換上限が当初の年間5000円から22年度は3500円に引き下げられるなど縮小傾向にあった。

 西之表市の老人クラブで会長を務める川野格さん(80)は「元気な高齢者を支える制度。もう少し大事にしてもらいたかった」と話す。

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 県高齢者生き生き推進課は「導入から10年が過ぎ、各市町村の事業が定着した」と成果を強調する。参加登録者は19年度の約6万6000人がピークで、22年度以降はコロナ禍やポイント上限額の減少もあり、4割減った。「参加する人、しない人で二極化した。地域活動への参加を促す本来の目的から離れつつあった」と廃止の経緯を説明する。

 後継に位置付けるのが「世代間交流で人生100年生きがい創出事業」だ。多世代型イベントやeスポーツなどの取り組みを補助する。24年度予算に497万円計上した。同課は「子どもや若者とともに、高齢者が地域に関わる仕組みを応援していく」としている。