輪島塗、琉球漆器で復興のシンボル制作 首里城再建の端材で工芸品

AI要約

能登半島地震で被災した輪島塗職人と、那覇市の世界遺産「首里城」の再建に携わる琉球漆器の職人が共同制作する工芸品を紹介。

沖縄県が主体となり、石川県との協力で工芸品制作が進められる。首里城の再建に向けた取り組みを通じ、技術交流や伝統継承にも注力する。

作品制作だけでなく、若手職人による交流会や体験講座なども計画され、復興への機運を高めるための取り組みが展開される。

 能登半島地震で被災した輪島塗職人と、那覇市の世界遺産「首里城」の再建に携わる琉球漆器の職人が、「復興のシンボル」をテーマとした工芸品を共同制作する。首里城の復元に使われる木材の端材に輪島塗を施し、箸置きやコースターなどを手掛ける予定で、2026年の首里城正殿の完成に合わせた記念品の制作も検討する。再起を図る職人がタッグを組み、双方の復興に向けた機運を高める。

 工芸品の共同制作は沖縄県が主体となり、石川県が協力する。内閣府が両県の調整役となる。沖縄県が今年度6月補正予算案で事業費900万円を計上した。2019年の火災で焼失した首里城の扁額(へんがく)の復元に取り組む琉球漆器の職人と、輪島塗の職人が作品づくりを進める。

 首里城正殿は26年夏に復元する見通しで、再建に向けた工事が進んでいる。沖縄県は復元の過程で輪島塗職人と交流を深め、お互いの技術向上にもつなげたいと共同制作を企画した。伝統継承に向けた課題なども共有したい考えだ。

 作品の制作とともに11月に那覇市内で若手職人による交流会を開き、それぞれが復興の現状を説明するほか、技術や担い手育成について意見を交わす。一般の親子を対象にした体験講座なども予定している。

 沖縄県首里城復興課復元整備班の兼久迅班長は「復興に向けた機運を盛り上げるため、今後も新たな取り組みを考えていく。琉球漆器、輪島塗双方の職人たちが手を携えて前に進んでいきたい」と話した。