【熱海土石流災害】「土石流前に回復」海底土砂の影響、静大など調査 伊豆山港沖

AI要約

静岡大と早稲田大、海洋調査会社が2021年の土石流で海底に堆積した土砂がほぼなくなったことを発表。

調査によると、泥の含有率が低下し、海底の微生物数は増加傾向にある。

熱海土石流の影響がなくなり、海の生態系が回復しつつあることが示唆された。

【熱海土石流災害】「土石流前に回復」海底土砂の影響、静大など調査 伊豆山港沖

 静岡大と早稲田大、海洋調査会社ウインディーネットワーク(下田市)は5日、熱海市伊豆山で2021年に起きた大規模土石流によって伊豆山港沖に流れ込み、海底に堆積した土砂が23年10月までにほぼなくなったとする調査結果を発表した。静岡大の北村晃寿教授(防災総合センター長)は「土石流の影響がなくなり、発生前の状態に海が回復した」としている。

 土石流直後の21年7月と22年8月、23年10月の3回にわたり、伊豆山港沖の水深4~16メートルの5地点で海底の土砂を採取し、音波でも海底の状況を調査した。

 21年の音波調査画像には港の沖合390メートルまで土石流の土砂とみられる泥が帯状に写っていたが、23年には帯がなくなった。影響のない箇所を除く4地点で土砂に含まれる泥の割合(含泥率)は、21年の最大23・6%から23年は最大8・4%に低下。海底に生息する微生物の数は22年まで変わらず、23年に増える傾向が見られた。土石流で堆積した土砂は、波や潮流などによって別の場所に移動したと推定されるという。

 熱海土石流は逢初(あいぞめ)川源頭部に造成された盛り土が崩落し、土砂は集落を襲って河口の伊豆山港まで流れ下った。県庁で記者会見した北村教授は「発生後1~2年は海の生態系に影響が出たことが分かり、漁業関係者の補償の科学的な根拠になる」と調査の意義を説明した。