前園真聖が“あの事件”で学んだ「ポジティブな自己否定」の重要性

AI要約

元プロサッカー選手で解説者の前園真聖さんが、メンタルトレーニングの重要性について語る。

自己否定のバランスが重要であり、失敗から学びつつポジティブに自己評価する姿勢を大切にする。

プロ選手から活躍の場を移す際にもメンタルの強化とプライドの扱いが重要であると指摘。

前園真聖が“あの事件”で学んだ「ポジティブな自己否定」の重要性

元人気プロサッカー選手で、現在は解説者やタレントとしても活躍している前園真聖さん。しかし一見、順風満帆に見える前園さんにも、かつてある挫折がありました。著書『第二の人生』より一部を抜粋してお届けします。

現役時代にもメンタルが大事だというのはわかっていましたが、その当時はメンタルトレーニングが主流ではありませんでしたから、何をどうしたらメンタルが鍛えられるのか、皆目わかりませんでした。

いまになって思うのは、強いメンタルを身につけるためには、他の誰かにコーチングを受ける以上に、自分で経験や失敗を積み重ねていくことが重要だということ。どんなメンタルトレーニングよりも「オレはここがダメなんだ」と経験や失敗を踏まえて自分の弱みを素直に認めることが大切なのです。自尊心が邪魔してそれができないと、メンタルも強くなれないのだと思います。

僕は事件がきっかけとなって「いまのままではダメだ」と自分に本気でダメ出しができましたが、その道のプロとして長い経験を持っている人にはプライドがあり、「オレはプロの世界でやってきた」という自負が強すぎるため、弱さを認めるのをためらうケースが多いと思います。

プライドがないと第一線でプロとして活躍できませんが、第一線を退いてからも捨てられない昔のプライドは邪魔なだけです。スポーツ選手が現役を引退して他の分野に活動の場を移しても、必ずしもうまくいかない理由はそこにもあると思います。

かく言う僕も現役のときには自分にダメ出しできなかったと思います。メンタルがすべてを左右しますから、ダメだと思ったら本当にダメになりますし、仮にダメでも「オレはまだ全然イケている」と自信を持たないとプレーにも悪い影響が出ます。ちょっとでも弱気になると、たちまちプレーが消極的でつまらなくなるのです。

では、どうすれば良いのでしょうか。

「オレはダメだ」で終わらず、ダメならダメなりにそれを乗り越えるためにどうするかを考えることが重要になります。失敗体験をいつまでも引きずっているとうまくいきません。

そこは難しいところです。失敗と経験を糧として自分にダメ出ししないと次のステージに向けて脱皮できないけれど、自らを否定しすぎると次のステージに行くモチベーションが落ちてしまいます。ですから、ネガティブに自己否定するのではなく、「次に行くためにいまの自分にいったんダメ出しするのだ」とポジティブに自己否定するのが理想です。