アボカド切らずに「食べごろ」判定 野菜の根に特定光で栄養分変化初確認も 秋田県立大

AI要約

秋田県立大学の学生らがアボカドの食べごろを切らずに判定・予測する技術を発明した。

光センサーを使用してアボカドの熟度を測定し、保存温度による熟度変化も調査した。

この技術を実用化して、アボカドの食品ロス削減や食べごろを手軽に判定できるようにする予定。

アボカド切らずに「食べごろ」判定 野菜の根に特定光で栄養分変化初確認も 秋田県立大

アボカドの「おいしい食べごろ」を切らずに判定・予測する技術を秋田県立大の学生らが発明した。皮の反射光と実際の食味や温度をプログラムして、手軽に店頭表示できる。また、野菜の根に特定光を当てると栄養分が変化することも確認。水耕栽培などで活用できる。いずれも生物資源科学部の小川敦史教授(52)=作物生理学=の指導で、特許出願している。

■光と実食データで

アボカド判定・予測法を発明したのは、興味あるテーマを1年次から探求できる同大の学生自主研究制度を利用した寺門優さん(20)ら同学部2年「アボカド探検隊」の3人。

「皮が硬いアボカドは食べごろの判断が難しく、私も切ってみて悔しい思いを何度もしたことから着想した」と小川教授。これに3人が興味を示した。

まずアボカドを半分に切って中身の硬さを果実硬度計で測定。それを実際に食べ、実の締まり具合など熟度を10段階に区分した。おいしい食べごろ熟度5。

「すると硬度計の値が同じでも熟度の分布は最大で3から7まで幅があり、硬さだけで熟度は示せないことがわかった」と小川教授。これを実証するため3人は「アボカドを100個以上食べた」という。

そこで、皮のままのアボカドに光センサーを当て、反射する光の波長ごとの比率を分析したうえ、実際の熟度分布との関係を数学処理したところ、熟度を判定できることがわかった。

さらに保存温度ごとの熟度変化を調べ、気温20度なら1日に0・8段階増すことを突き止めた。「熟度3(少し硬め)のアボカドが気温25度なら2日後、15度なら10日後に食べごろになるので、販売時にシール表示できる」と3人。

小川教授は「このデータをプログラミングすればスーパーなどで使っている一般的な果実用の光センサーで、おいしい食べごろを手軽に判定・予測できる」といい、11月に農林水産省が東京で開く「アグリビジネス創出フェア」で実用化提案する。

3人は「実用機器の開発でアボカドの食品ロスにつなげたい」「アボカドの嫌いな人も、おいしい食べごろを食べて好きになってほしい」と話している。