“富士山隠し”の幕をコンビニが撤去していた…インバウンド急増の複雑心境を地元飲食店が吐露

AI要約

富士山を背景にしたコンビニが観光客に大人気となり、幕で隠す措置を取った結果について報告。

幕が撤去された際にも問題が続出し、再設置の必要性を検討しているが、地元の意見や葛藤が浮かび上がっている。

インバウンド対応は経済的に重要であり、共存のための対策が求められる。

“富士山隠し”の幕をコンビニが撤去していた…インバウンド急増の複雑心境を地元飲食店が吐露

 物議を醸した山梨県富士河口湖町の観光公害対策に続報だ。今年5月、富士山を重ねた写真を撮ろうと訪日客が集まったコンビニの前に設置した幕を覚えているだろうか。実は台風接近による破損などを避けるため、今月15日に取り外していたのだ。

 もともとは何の変哲もない場所だったが、「富士山とコンビニ」という“ネオジャパネスク”な組み合わせが外国人に大ウケ。SNSを通じてインバウンドの人気スポットに。訪日客が殺到したが、私有地の立ち入りやゴミの散乱、道路の危険な横断などが頻発し、写真を撮れないように雄大な富士を幕で隠したのだ。

 直後にはレンズをのぞかせる穴を開けられたが、より丈夫な素材に変えた効果もあり、訪日客は徐々に減少。撤去後もトラブルがなければ、幕の再設置は考えていないという。

 この騒動を巡っては、自治体の葛藤がうかがえる。

「本来であれば、多くの観光客に来ていただくことはありがたい話。我々も幕を付けたいと思ってやっているわけではありません。一度様子を見て、対処していきたいと思います」(富士河口湖町・都市整備課)

 時には迷惑なインバウンド対応のかじ取りは難しい。「映え」スポットが多くの客を呼んでいたのは事実で、コンビニ周辺はかつての活況を失っていた。近くにある飲食店の経営者は、こう本音を打ち明ける。

■「町のマイナスイメージにつながった」

「以前はかなり多くの訪日客が来てくれて、周囲の飲食店も大変賑わっていました。けど、幕が設置された翌日からお客さんが半減してしまいました。行政側の対応が間に合わなかったことでの苦肉の策だと思いますが、それでも富士山を隠してしまうのはあんまりです。町のマイナスイメージにもつながったと思います。警備員の増員や、トイレとゴミ箱の設置、道路沿いにフェンスを建てることなどで対応できなかったのでしょうか。せっかく世界から注目される人気スポットとなっていただけに、本来の場所の価値を損ねてしまうのは残念すぎます」

 インバウンドはもはや、経済的にも無視することができない。共存への模索が賢明だろう。