ボケたくなければ「寝る前3時間は食べない」|専門家が教える、認知症を予防する最強の生活習慣

AI要約

認知症の予防には、グリンパティックシステムの機能を良好に維持することが重要。

夕食をとってから3時間ほど待って就寝することが、認知症予防に効果的。

間欠的ファスティングによる長時間の絶食は、認知症の予防やアンチエイジングに効果的。

ボケたくなければ「寝る前3時間は食べない」|専門家が教える、認知症を予防する最強の生活習慣

文/鈴木拓也

いまや日本の認知症患者数は、約700万人。社会の高齢化に伴い、この数は増えていくと予想されている。

ひと口に認知症といっても何種類かあり、最も代表的なのがアルツハイマー型認知症である。

これに対応した薬も出ているが、効果は進行を抑えるにとどまり、根本的に治せるものはまだないのが実情。

ただ、病因は解明が進んでおり、年齢とともに脳内にたまっていくアミロイドβといった「ゴミ(老廃物)」が、脳の神経細胞の機能を損なって発病すると考えられている。

このゴミは一方的にたまるものではなく、随時排出する仕組み(グリンパティックシステム)が備わっているが、年をとるとその能力も落ちていく。こうして、「ゴミ」はどんどん蓄積されていく。

しかし、このグリンパティックシステムの機能を、良好に維持する秘訣があるという。

そう説くのは、ブレインケアクリニックの今野裕之名誉院長だ。今野名誉院長は、著書『ボケたくなければ「寝る前3時間は食べない」から始めよう』(世界文化社)のなかで、そうした秘訣の数々を解説している。

その秘訣の1つが、書名の一部にもなっている「寝る前3時間は食べない」というもの。

例えば毎晩午後11時に寝ているのなら、午後8時以降は食べない。非常にシンプルなものだが、医学的に確固とした意味がある。

それは、睡眠の質の改善。

夜遅くまで仕事をするなど忙しくて、夕食を抜いたとき、朝は割とスッキリ目覚めた経験は、誰しもあるだろう。

これは感覚的なものではなくて、実際に質の高い睡眠をとれたことによる。眠ったときに胃が空に近い状態だと、深く眠れるよう人体はできている。

そして、グリンパティックシステムは、しっかり眠っているときに活発に活動することがわかっている。

つまり、夕食をとってから3時間ほど待って就寝することが、認知症の予防になるわけだ。

同時にこの生活習慣が、「間欠的ファスティング」にもなる点を、今野名誉院長は指摘している。

間欠的ファスティングとは、1日のうちで何も食べない時間を12~16時間もつこと。寝る前の3時間、7~8時間の睡眠、起床後しばらく時間を空けての朝食で、比較的無理なく行える。

長時間の絶食をすると人体は、細胞中の老廃物などを分解するオートファジーという機能を働かせ、サーチュイン(長寿遺伝子)を活性化させるが、これは認知症の予防にも有効だという。

さらには、がんの増殖を抑える、ストレス耐性の強化など、食べない時間がもたらすメリットは、はかり知れない。認知症対策を含む、最強のアンチエイジングメソッドと言えるかもしれない。