エムポックス(サル痘)変異株、アフリカ以外で初の症例 スウェーデンで確認

AI要約

スウェーデンで初めてエムポックスの変異株の感染例が確認された。感染源はアフリカで、致死率が高い重症化しやすいウイルスで、子どもたちの間で広がりやすいとされている。

世界保健機関(WHO)は「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」を宣言した。これは2回目の事態宣言で、アフリカの12カ国で感染例が報告されており、ワクチン接種の基本的な医療インフラが未整備の国が多い。

アフリカ疾病予防管理センターはワクチン配布を監督し、欧州委員会との契約で21万5000回分以上のワクチンを手配している。

エムポックス(サル痘)変異株、アフリカ以外で初の症例 スウェーデンで確認

スウェーデンの公衆衛生当局は15日、アフリカで感染が拡大しているエムポックス(M痘/サル痘)の症例が国内で初めて確認されたと発表した。エムポックスについては世界保健機関(WHO)が前日に「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」を宣言していた。

スウェーデン当局の説明によると、「ストックホルム地方で診察を受けた患者がエムポックスの変異株のクレードIに感染していると診断された 」という。患者はアフリカ滞在中に感染したとのことで、「一般市民に与えるリスクは非常に低い」との見解を示した。

アフリカ以外でエムポックスの変異株の症例が確認されたのはスウェーデンが初。

この変異株は「重症化しやすく、致死率が高い」とされている。また、家庭内での通常の接触により、特に子どもたちの間で感染が広がりやすいようだ。

WHOは14日、コンゴ民主共和国での症例の増加、そして感染が確認された国がアフリカで増えている状況は、国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態に該当すると指摘。WHOのテドロス事務局長は「国際保健法のもとで最高レベルの警告」と説明した。

エムポックスでの緊急事態宣言は今回で2回目となる。WHOは2022年7月に「これまで確認されていなかった国々で、性的接触を介して急速に拡大している」として緊急事態を宣言した。その後、世界的に感染例は持続的な減少が見られ、翌年5月に宣言の終了が発表された。

アフリカ疾病予防管理センターによると、今年は12日時点で少なくともアフリカの12カ国でクレードIの症例が報告され、2863の症例と517人の死亡が確認されている。疑い例は1万7000を超えている。

エムポックスは天然痘に近いが、重症化は天然痘ほどではない。天然痘はウイルス感染症の中で最も致死率が高いものの1つで、唯一根絶されている。

エムポックスのワクチンはデンマークの製薬企業ババリアン・ノルディックが生産している。世界的に大流行した2022年に提供が始まったが、供給量には限りがあり、感染が拡大している国々の多くはワクチン接種を効果的に行うための基本的な医療インフラが整っていない。だがアフリカ疾病予防管理センターは、21万5000回分以上のワクチンを、欧州委員会(EC)の欧州保健緊急事態準備・対応局およびババリアン・ノルディックと契約した。同センターはワクチン配布を監督し、現地のニーズを優先するとしている。