「郊外にあるあの土地、どうしよう…」引き継いだ不動産をいかし、収益を向上させる「意外な活用事例」【プロが解説】

AI要約

相続時に活用しにくい不動産を市場性の高い事業用不動産に組み換える方法が紹介されています。

事業用資産の買換え特例を活用することで、譲渡税を軽減できるため、負担を減らすことができます。

金融資産から不動産への資産の組み換えも有効であり、計画段階から税理士のアドバイスを受けることが重要です。

「郊外にあるあの土地、どうしよう…」引き継いだ不動産をいかし、収益を向上させる「意外な活用事例」【プロが解説】

もしも相続が起こったら、この場合はどうしたらいいのだろう?

実際のところ、相続のときに初めて気づく問題や疑問はいろいろあります。家族の状況や遺産の状態によって、思わぬトラブルになることも。最近の相続で、よく起こりがちな疑問や心配事に対し、『知って安心!不動産の相続 2024年版』を監修したランドマーク税理士法人の認定相続マイスター・久保薗渓さんが対処法を指南する。

Q.活用しにくい不動産。今後どうしたらいい?

A. 市場性が良い立地の事業用不動産に組み換えることも一案

活用しにくい不動産や収益性の低い事業用不動産は、将来引き継ぐ家族にとって大きな負担となる可能性があります。このような不動産を、市場性が良い立地の事業用不動産に組み換えると、収益性の大幅な向上が期待でき、家族の負担も減らせます。

例えば、郊外にある稼働率の低い駐車場を売却して、駅近や都心の高収益不動産に買い換えるという手法です(図表1)。

「一定の条件を満たすと事業用資産の買換え特例が使えます。約20%の譲渡税が特例により約4%に圧縮されるので、不動産の組み換えの際に生じるロスが大幅に軽減できます」(久保薗さん)

事業用資産の買換え特例は、所有期間が1月1日現在で10年を超える事業用資産を売却し、新たに事業用の土地・建物に買い換えた場合、売却金額の原則20%だけを収入として譲渡税を計算するという仕組みです。

ただし、土地面積は300以上であることなど、適用の条件は厳格なため、計画段階から税理士のアドバイスを受けて行うのが安心です。

現預金などの金融資産が多い場合は、金融資産から不動産への資産の組み換えが有効です。

現預金は相続時に分割がしやすいというメリットがありますが、相続税評価では100%で評価されてしまいます。それに対して不動産は、路線価地域の場合、公示価格の約80%の水準で評価され、アパートなどの収益用建物の土地は、貸家建付地として課税価格がさらに2割前後下がります。

ただし、高齢になって極端な資産の組み換えを行うと、相続時に税務署から露骨な節税目的と判断される可能性があります。その場合は路線価による評価が認められず、より高い不動産鑑定による評価になることも。資産の組み換えは早めに行うほうが安心です。