どこまで飲むとアルコール依存症?  お酒を飲むと態度が変わる、昼から飲む、二日酔いに迎え酒……。

AI要約

家族やまわりの人は、酒好きの人には多少困ることがあっても、重症化した依存症が問題となる場合もある。今回はアルコール依存症の症状や治療法について解説する。

軽度の依存と依存症の事例を通じて、依存症の兆候を識別し、早めに対処することの重要性を強調する。

Aさんの事例を通じて、酒ぐせの悪さだけでなく、問題を否認しにくい依存症の特徴と、適切な対処の必要性を示す。

どこまで飲むとアルコール依存症?  お酒を飲むと態度が変わる、昼から飲む、二日酔いに迎え酒……。

酒好きの人に対して、家族やまわりの人は、多少困ることがあっても深刻な問題がなければ様子をみようとしがちです。しかし、なにか問題が起きたときには、多くの場合、依存症は重症化しています。社会生活が危機に陥っていたり、命に関わる病気に罹ってしまっていたりするなど、深刻な事態に陥っていることもあります。

そこで、この記事では、『新版 アルコール依存症から抜け出す本』(樋口 進 監修)から、アルコール依存症の症状や治療法などについて、全8回にわたり解説します。現在、日本に約100万人いるといわれている潜在的な患者さんたちが、早めに対処していくために役立つ情報をまとめました。

すでに自覚症状のある人をはじめ、予備軍やまわりのご家族もぜひお読みください。今回は、「軽度の依存」と「依存症」の事例から、単なる酒好きとの違いを見分けるポイントをご紹介します。

アルコール依存症から抜け出す 第2回

第1回はこちら〈「アルコール依存症」とは?──お酒を飲む人必読。放っておくとこんなに危ない。潜在的な患者は100万人!?〉

アルコール依存症の人には、特有の行動や症状があります。それらを知っておけば、依存症に早く気づき、重症化する前に対応することができます。そこで、「軽度の依存」と「依存症」の事例をご紹介します。どこまで飲むと依存症といえるのかを理解するための参考にしてください。

Aさんは、30代の男性会社員で既婚者です。お酒が好きで、一晩でビールをジョッキ2~3杯、焼酎をグラス3~4杯は飲んでしまいます。ふだんはまじめで口数が少なく仕事熱心な人ですが、酔うと口数が増え、不用意な発言が多くなりがちです。

酒席で上司の仕事を批判したり、取引先と口論をしたりして、トラブルを起こしたことがあり、妻や上司からお酒の飲み方を注意されています。同僚にも酒ぐせの悪い人として警戒されています。

Aさんは、酒席での問題を覚えていない場合もありますが、酒ぐせが悪いという自覚はあり、トラブルを起こしたことに気づけば反省し、謝罪します。しかし、しばらくするとまたよく飲むようになり、同じような問題を起こしてしまいます。お酒が好きで、飲みはじめるとなかなか止められません。

このAさんの場合、酒ぐせが悪いのは確かですが、それだけでは依存症といえません。そのあとの対処が重要です。

Aさんの場合、酒ぐせは悪くてもそれを反省し、飲み方を多少は調節しているので、依存症には該当しないでしょう。しかし問題は大きく、治療を受けたほうがよいといえます。依存症の人には問題を「否認」する傾向があり、また飲み方の調節も困難です。そのため、問題は徐々に悪化していきます。