「アルコール依存症」とは?──お酒を飲む人必読。放っておくとこんなに危ない。潜在的な患者は100万人!?
依存症の人は、自分で飲み方をコントロールできない状態になっており、治療が必要な病気であることを示す。
アルコール依存症とは、飲みすぎで問題が生じつつも自己管理ができなくなる状態を指す。
アルコール依存症の特徴として、飲む時間、量、状況をコントロールできないという3つの側面が挙げられる。
酒好きの人に対して、家族やまわりの人は、多少困ることがあっても深刻な問題がなければ様子をみようとしがちです。しかし、なにか問題が起きたときには、多くの場合、依存症は重症化しています。社会生活が危機に陥っていたり、命に関わる病気に罹ってしまっていたりするなど、深刻な事態に陥っていることもあります。
そこで、この記事では、『新版 アルコール依存症から抜け出す本』(樋口 進 監修)から、アルコール依存症の症状や治療法などについて、全8回にわたり解説します。現在、日本に約100万人いるといわれている潜在的な患者さんたちが、早めに対処していくのに役立つ情報をまとめました。
すでに自覚症状のある人をはじめ、予備軍やまわりのご家族もぜひお読みください。今回は、依存症の特徴とセルフチェックについてご紹介します。
アルコール依存症から抜け出す 第1回
健康な人でも羽目をはずしてお酒を飲みすぎ、酔って問題を起こしてしまうことはあります。しかし、それはたまたま起こったことで、健康な人はふだん、お酒の飲み方を自分で調節できます。
いっぽう、依存症の人の場合、飲みすぎて問題を起こすことが、「たまたま」ではなくなっています。お酒をひかえようと意識しても、それがうまくできません。
依存症の人は、お酒を飲みすぎる生活を続けてきたため、体質や脳の働き方が変わってしまっていて、自分の意志では飲み方を調節できなくなっています。そのような状態を「コントロール障害」といいます。「酒ぐせの悪さ」と看過できる段階はすぎ、治療の必要な病気となっているのです。
つまりアルコール依存症とは、お酒の飲みすぎで問題が起こっているのに、自分では飲み方をコントロールできなくなっている状態のことをいいます。
【3つのコントロールができない】
●飲む時間のコントロール
「22時まで飲もう」などと約束して飲みはじめても、その時間に切り上げられない。夜中や朝方まで飲み続ける
●飲む量のコントロール
お酒の量を調節できない。お酒関連の問題を反省して「今日は1杯だけ」と決めても、気がつくと何杯も飲んでいる
●飲む状況のコントロール
仕事中や重要な用事の直前など、本来であればお酒を飲むべきではないタイミングでも、飲むことを我慢できない