パリ五輪、ロゴマークのくちびるは誰のもの? 思わず誰かに話したくなる!五輪5つの“うんちく”

AI要約

パリ五輪・パラリンピックのシンボルや競技コースには、フランスの歴史や文化が随所に込められている。

マリアンヌという擬人化された女性がフランスの自由の象徴として知られ、ロゴマークや公式ロゴにも使用されている。

フランス人権宣言の影響である「自由」という価値観が、パリ大会のマスコットやロゴを通じて表現されている。

パリ五輪、ロゴマークのくちびるは誰のもの? 思わず誰かに話したくなる!五輪5つの“うんちく”

 開催中のパリ五輪・パラリンピックのシンボルや競技コースには、フランス人が 誇りに思う歴史や文化が随所に込められています。パリ在住の文筆家・森田けいこさんに、思わず人に語りたくなる5つの“うんちく”を教えていただきました(朝日新聞出版の小中学生向けニュース月刊誌『月刊ジュニアエラ』8月号の取材を再構成しています)。

■うんちく1 ロゴマークのくちびるは誰のもの?

 パリ大会のロゴマークには金の円の中に聖火とくちびるが描かれていますが、このくちびるはフランスを擬人化した女性「マリアンヌ」を表しています。イギリスは「ブリタニア」、スペインは「エスパニア」というふうに、ヨーロッパの国は自分の国を擬人化し、女性の名前で呼ぶことがあります。マリアンヌはフランス政府の公式ロゴや切手にも採用されています。

 マリアンヌは実在の人物ではありませんが、フランス革命で民衆が王政を倒し、自由を得たことを表す「自由」のシンボルとしても親しまれています。七月革命を題材にドラクロワが描いた「民衆を導く自由の女神」という作品では、三色旗を掲げたマリアンヌが中央に描かれています。

〇フランス革命

1789~99年に起きたフランスの市民革命。国王や貴族の圧政に苦しむ市民が国民会議をつくり、憲法制定を要求したが、王が武力で弾圧。これに反発した市民が1789年7月14日、バスチーユ牢獄を襲ったことに始まる。王政および身分制が廃止された。

■うんちく2 マスコットは「自由」を表す帽子の化身

 ドラクロワの絵でマリアンヌがかぶっている赤い帽子は「フリジア帽」と呼ばれるもので、ギリシャ・ローマ時代に解放された奴隷がかぶっていたものです。解放……つまり、自由の象徴で、教科書などによく掲載されているフランス人権宣言の扉絵にも描かれています。パリ大会のマスコット「フリージュ」は、このフリジア帽の化身です。

 フランス人権宣言は「人間は生まれながらにして自由かつ平等の権利をもっている」とうたっている点が大きな特徴で、日本国憲法にも影響を与えています。民衆が立ち上がり自らの手で勝ち取った「自由」を大切にするフランス人の心意気を、パリ大会のロゴやマスコットから感じとってみてください。

〇フランス人権宣言

1789年8月にフランス憲法制定議会(旧国民議会)が制定した、普遍的な人間の権利を記した文書。正式名称は「人間および市民の権利の宣言」。