真の休日とは「インスタに載せる写真がない日」のことである…予定は「休息→運動→仕事」の順に立てるべき理由

AI要約

イ・ダヘさんは常に仕事を最優先にする生き方には無理があると指摘し、休息と運動の時間を確保してから仕事の予定を入れることを提案している。

現代の生産性に対する強迫観念や忙しさについて言及し、仕事中毒になった主人公が覚せい剤を使って働き続ける姿を映画から引き合いに出している。

結局、仕事がすべてであり、プライベートや休息よりも仕事を優先する姿勢を批判的に提示している。

元気に働き続けるにはどうすればいいのか。韓国のエッセイスト、イ・ダヘさんは「常に仕事を最優先にして働く生き方には無理がある。休みの日には有意義なことをしようとせず、ただ休む方法を身につけたほうがいい」という――。

 ※本稿は、イ・ダヘ『仕事帰りの心 私が私らしく働き続けるために』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

■「生産性を上げなければ」と常に追い立てられている

 私たちはいつも仕事に追われています。「私たち」と言いましたが、あなたはあなたなりに、私は私なりにできる限りのことをしようとがんばっている。燃え尽き症候群が問題になる理由は、仕事ができないからではなく、生活が回らなくなるからです(うつ症状は生活にも支障が出るし、場合によっては生活にだけ支障が出る場合もあります)。

 「このところ忙しいでしょう?」という言葉がありがたい挨拶のように使われていて、「最近仕事が多くて」という言葉が謙虚な返事のように聞こえます。誰もが忙しい。お金はあまり稼いでいなくても、暇な人は見たことがありません。

 だから生産性に関する強迫観念まで感じるようになります。一番多く寄せられる質問もまた、生産性に関するもの。

 「どうすればそんなにたくさんの仕事ができるんですか?」

■休息と運動の時間を確保してから仕事の予定を入れる

 私はまず休息のスケジュールを先に立てます。40代になる前までは、その次に仕事の予定を組んでいましたが、40代半ばになってからは、休息の後に運動のスケジュールを入れるようになりました。その次が仕事です。

 仕事の時間を最小限にしないと、休息時間や運動の時間はとれません。私のスケジュール管理はざっくり言えばこれがすべて。

 ジェシカ・チャスティン主演の映画『女神の見えざる手』を観ていて、目の前がくらくらしましたが、もしかしたら現代人のいう生産性自体を、映画の主人公ワシントンD.C.のロビイスト、エリザベス・スローンが象徴しているかもしれないと思ったからです。スローンは(少しオーバーに言えば)眠りません。

 映画の内容は悪名高き(つまり抜きんでた実力の)ロビイスト、スローンが銃規制法案通過のために働く過程を描いています。参考までに、スローンが悪名高いといわれる理由は、法の境界を行き来し、公共の利益に反する法案も通過させてしまう敏腕ロビイストだから。

■覚せい剤を使ってまで働き続ける主人公

 彼女はお金のために働きます。ところが銃規制法案は、今までスローンがやってきた仕事と正反対の性格のものでした。果たしてスローンは何を考えているのか。

 映画の後半のスリリングなどんでん返しも見所ですが、観るたびに驚くのは、スローンの仕事の仕方、生き方です。彼女はなかなか休みません。スケジュールはびっちりで、その中で完璧に装い、メイクアップし、ぜんまいじかけの人形のごとく、誤差なく人に会い、仕事を処理する。それもただの仕事じゃない、莫大なお金がやりとりされる、実力者たちを動かす(脅迫もする)仕事です。

 彼女は、それは優れた手腕の持ち主です。そしてワーカーホリックでもあります。ワーカーホリック、仕事中毒がどういう意味かわからなければこの映画を一度観ていただきたいと思います。

 彼女は眠らないために、仕事をたくさんするために、覚せい剤を服用します。彼女なりのストレス発散法ですが、誰かにばれでもしたらすぐに弱点として利用されてしまう類のものでもあります。このすべての過程は、「無理やり」というより「かろうじて」やっているに近いように見えます。

 プライベートを豊かに、あるいはのんびりと過ごすために働くのではない。仕事が先で、仕事がすべてなのです(※ここからは映画の結末についての話が出てきます)。