あなたもゼッタイ使ってる……発達障害・グレーゾーンの人に「どんなに言っても通じない」NG表現

AI要約

コミュニケーションが苦手な人や発達障害のある人が、日常の言葉の意味を理解するのは難しいことがある。

特に具体的な指示や注意が必要な場面では、相手の理解を助けるためには、言葉だけでなく具体的な行動も必要となる。

状況や文脈を考慮して、伝える内容を明確にすることで、コミュニケーションのすれ違いを減らすことができる。

あなたもゼッタイ使ってる……発達障害・グレーゾーンの人に「どんなに言っても通じない」NG表現

コミュニケーションが苦手な人はめずらしくありませんが、発達障害や、診断はなくてもその特性が強い「あの人」は、特に話す・聞くを苦手とする傾向があります。私たちが日常的に使っている言葉のなかにも、実はまったく「通じていない」ものがあるかもしれません。お互いの「すれ違い」を防ぐためにできることを、【前編】いい歳した大人が、まさかの……発達障害の夫の「おねだり」に赤面した漫画家が見つけた「自制」の教え方に引き続き、野波ツナさんの新刊『発達障害・グレーゾーンのあの人の行動が変わる言い方・接し方事典』から紹介します。

野波ツナです。発達障害がある夫・アキラさんと暮らしていて、とくに気になったことがあります。それは、こちらの注意が届かないこと。絶対に聞こえるところで彼に「気をつけて」と言っても、まさに避けてほしかった「そのこと」を、アキラさんはうっかりやってしまうのです。

アキラさんのように発達障害がある人や、グレーゾーンと言われる人を私はまとめて「あの人」と呼んでいますが、そんな「あの人」には、パートナーの注意が届かないことが多いようなのです。

たとえば下の「あの人」=ネコには、パートナー(イヌ)との間にこんな出来事が起こりました。

日ごろよく使われる「気をつけて」という言葉。この言葉は、状況によって意味する内容が変化するややこしい表現です。たとえば「熱いから気をつけてね」は、

「熱いから(火傷しないように)気をつけて(飲んで)ね」

という意味になり、「そこ、気をつけて」は、

「そこ(に柱があるから、ぶつからないように)気をつけて(歩いて)ね」

という意味になります。伝えたい内容が省略されているわけです。

周囲の状況を手がかりにすれば、省略部分を読み解くことはできるでしょう。しかし、「あの人」は他者の言葉に込められた意図や、目に見えていない部分を推測するのが苦手です。どうすれば伝わるでしょうか。

文脈に応じて「気をつけて」をうまく読み解けない人には、下のイラストのように、危険を避けるために何をすべきか、具体的に言葉で伝えるしかありません。

できれば目で見てわかるように、指で示すところまでできると安心です。

似たような呼びかけ表現に、「しっかりしてね」「ちゃんとしてね」などがありますが、こうした言葉も、話者が状況に応じて、

「相手の目を見て要望してね」

「姿勢を正して、敬語で話してね」

と、読み解く必要がなくなるように明確に伝えると確実です。