ことばもAIも味方に 川添愛さんが語る円滑なコミュニケーション術

AI要約

ことばは時にあいまいで、誤解やすれ違いを招くこともあります。AI(人工知能)が文章を書いたり、悩みの相談に乗ってくれたりする時代。デジタル技術をうまく使いこなして、より円滑で豊かな人間関係を築けないでしょうか。

「政府の女性を応援する政策」について、受け取る意味に関するアンケート結果から、人間の言語理解についての考察がなされた。

また、誤解を避けるためのコツやAIの活用法についても言及され、コミュニケーションの重要性が強調された。

ことばもAIも味方に 川添愛さんが語る円滑なコミュニケーション術

 ことばは時にあいまいで、誤解やすれ違いを招くこともあります。AI(人工知能)が文章を書いたり、悩みの相談に乗ってくれたりする時代。デジタル技術をうまく使いこなして、より円滑で豊かな人間関係を築けないでしょうか。記者サロン「デジタル時代のコミュニケーション~あいまいなことばとAI~」で、作家で言語学者の川添愛さんと、朝日新聞校閲センター記者の森本類と西村大祐が語り合いました。

 「政府の女性を応援する政策」。視聴者へのアンケートでこの一文がどういう意味だと思うか尋ねたところ、A=「政府が主導する、女性を応援する政策」が9割、B=「政府の中にいる女性を応援する政策」が1割という結果になった。

 川添さんはこの「1割」に着目。人間はことばを理解する時、先に出てきた語句が何を修飾しているかを探し始めるといい、「Aを選んだ人も『政府の女性』というかたまりをつくった後に、常識に従って解釈し直している」と解説した。

■読点で誤読回避

 誤解を招かないコツの一つは「句読点をうまく利用すること」。「、」を打ち、修飾先が遠くにあることをほのめかすことで、誤読を避けられる可能性が高まるという。

 日本語は主語や目的語を省いても文が成立する。何について話しているかをお互いが共有していれば、ことばを省略することでスピーディーに情報のやりとりができる利点があるが、メールやSNSで「文字」のやりとりをする場合は注意が必要だ。「表情や身ぶりの情報がなく、誰に向けて話しているかなどを推測する手がかりがないため、対面と似た調子で書くと容易に誤解が生じます」。特に「いいよ」「大丈夫」は「OK」と「ノーサンキュー」の両方の意味があり、アクセントやイントネーションが分からない場合はあいまいになりやすいため気をつけたいワードだという。

 アンケートでは、AIの活用法も尋ねた。英会話の勉強や教材づくり、おわびメールの作成のほか、就職活動で志望動機を書くのに利用した人も。川添さんは「本来なら人の手をわずらわせて添削や指摘をしてもらわないといけないが、AIは疲れないし嫌がらないのでいいと思う。私も、研究者時代にAIがあったら使ってただろうな」と肯定的に受け止めつつ、「AIに添削してもらったり、書き直してもらったりした場合でも、最終的に文章に責任を持つのは自分。内容や言い回しが正しいか、チェックできないといけない」と注意点を挙げた。