中江有里さん、デビュー35年を迎えても「確固とした自信がない。だから本ばかり読んでいる」

AI要約

中江有里さんが阪神タイガースと読売ジャイアンツのOB戦を観戦し、過去の名選手たちのプレーに感動する。

OB戦のエキシビションマッチは笑顔と拍手が絶えない楽しい時間だった。

過去の選手たちの姿を見て、野球の歴史と次世代への伝承の重要性を感じる。

中江有里さん、デビュー35年を迎えても「確固とした自信がない。だから本ばかり読んでいる」

 読書好きで知られる俳優の中江有里さんが、日々のできごとや過去の思い出を、1冊の本とともにふり返る連載エッセイ。阪神タイガースと読売ジャイアンツのOB戦を見に行った中江さん。往年の名選手たちが精いっぱいボールを追いかける姿に、カート・ヴォネガットの講演集『これで駄目なら』(飛鳥新社)を思い出し、自分のやってきたことを次の世代に伝えていく大切さを肝に銘じました。

 2024年7月15日、わたしは東京ドームにいた。

 巨人とのカード初戦は2-0で阪神の完封勝ち。先発ビーズリー投手は6イニングで八つの三振を奪う圧巻のピッチング。

 「貧打」と揶揄された打線も7月に入ってから繋がり始めている。

 昨年と違って混戦気味のセ・リーグ、毎日が一進一退。阪神の勝敗に心揺さぶられてばかり。

 試合中、画面に映る岡田監督の重苦しい表情が、今季の阪神を物語るようだ。

 この日はデーゲームに引き続き、伝統の一戦~レジェンズOB対決が開催される。そのまま居残れば同じ席で観戦できる。

 1日で2戦見られる、しかもレジェンドたちの対決。海鮮鍋を食べたあと、出汁でつくる雑炊がついてくるよう。野球を味わい尽くす1日。

 OB戦のスターティングメンバ―発表は、名前が読み上げられる度、スタンド全体から大きな拍手が起きた。どちらのファンとか関係なく、みんな野球ファンだ、と感じる。

 能見篤史さんの美しいワインドアップと力強い投球。心の中で「明日の試合、1イニングいけるんじゃないか?」とつぶやく。

 鳥谷敬さんや糸井嘉男さんのユニフォーム姿、プレーともに現役同様ではないか!

 掛布雅之さんや田尾安志さんはヒットを打った! 阪神OB大活躍だ。

 藤川球児さんが登板する際は、現役時代の登場曲(「every little thing every precious thing」)が流れた。ビジター球場では異例の粋な演出。

 10年ぶりのOB戦は5回で終わるエキシビションマッチ。

 結果は3-2で巨人OBの勝ち。

 ペナントレースのような緊迫感はない。代わりに笑顔と拍手が絶えない時間だった。

 なつかしい応援歌を歌い、OB選手の名前入りタオルを掲げるファンも多かった。

 かつて死闘を繰り広げた選手たちが走り(歩き?)、少々よろめきながらボールを追う姿を見ながら、こみ上げる感情がある。