【虎になれ】貯金生活踏みとどまった阪神 後半に期待できる理由は…

AI要約

阪神が久しぶりの打撃力を発揮し、広島に12-3で勝利。前半戦を貯金1で終了し、苦しい展開を乗り越える。

全員安打、全員打点、全員得点という珍しい試合展開があり、指揮官も驚きを示す。接戦での負けと大勝という変動はチームの課題でもある。

前年王者の巨人との対戦差を振り返り、混戦状況を強調。後半戦の中日戦で打線がつながることが勝利への鍵とされる。

【虎になれ】貯金生活踏みとどまった阪神 後半に期待できる理由は…

<阪神12-3広島>◇21日◇甲子園

 久しぶりに打線が爆発した阪神が広島に一矢報いた。これで貯金1を死守し、前半戦終了。2試合連続で「0-1」の敗戦を食らい、その後に「12-3」勝利だから3連戦では「12-5」。得点だけみれば圧勝、指揮官・岡田彰布もボソリ言ったように「3試合に分けてくれ」と思うのだが、こればかりは仕方がない。とにかくギリギリで踏みとどまった、と思う。

 それにしても打ちに打ったり。投手・西勇輝を除くスタメン野手が全員安打、全員打点、そして全員が生還した全員得点である。長い間、野球を見ているがこんなのも珍しい。指揮官・岡田彰布も「そうなん?」と言うほどのつながりを見せたのである。

 そうは言っても接戦で負け、勝つときは大勝…というのはハッキリ言って強くないチームの特徴だ。昨年の阪神は接戦をことごとくモノにしていたので、前日までの4連敗は、やはり苦しんでいる今季の象徴かもしれない。それでも「借金生活転落か」「これ以上はあかん」というところでストップできるのは、なかなかの粘りだろう。

 首位・巨人に3・5ゲーム差での球宴ブレークとなった。ここで優勝した昨季を少し振り返ると面白い。この時点で首位は阪神。貯金は「11」もあった。2位・広島も強く、1ゲーム差で追う。3位は貯金5のDeNA。そして4位は巨人で借金2、阪神までは6・5ゲーム差だった。

 面白いと思うのは、2、3位は同じ顔ぶれで首位と4位が入れ替わっていることだ。言うまでもなく巨人が優勝に近いのだが、今季はやはり異例。4位の阪神が貯金1で首位まで3・5ゲーム差である。やはり混戦と呼ぶべき状況なのだ。

 気が早いが、後半戦は26日から甲子園での中日3連戦でスタートする。ここで、この日とまではいかなくても打線がつながる戦いを見せれば、巨人、あるいは上位を追いかけることは十分、可能だろう。

 「誰1人、いいと思ってないよ、前半は。ハッキリ言うて」。試合後、虎番記者に囲まれ、ピシャリと言った岡田。歯に衣(きぬ)着せぬスタイルは健在で、大勝にも満足はできていない様子を見せた。それでも、とりあえず節目の試合にスカッと勝ち、留飲は下げたはず。この借りを後半に返せるか。選手は監督に「どうですか」と胸を張れるか。そんな戦いを前に、しばしの調整期間である。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)