世界で女性が囚われる美のプレッシャー。「容姿を批判されるからテレビに出たくない」意見も多数。SNSが及ぼす<キャリア選択>への影響とは

AI要約

男女間の賃金格差が解消されるまでには257年かかるというデータが示され、女性が男性よりも貧しい状況が続いている。

美のプレッシャーやソーシャルメディアの影響が、女性のキャリア選択や社会参加に悪影響を及ぼしていることが指摘されている。

若い女性が容姿や外見に関する批判を恐れる一方で、多くがソーシャルメディアでの理想像に影響を受けているというデータも示されている。

世界で女性が囚われる美のプレッシャー。「容姿を批判されるからテレビに出たくない」意見も多数。SNSが及ぼす<キャリア選択>への影響とは

厚生労働省が発表した「令和5年 賃金構造基本統計調査」によると、一般労働者の平均賃金は男性が350.9千円、女性が262.6千円だったそう。このような状況のなか、タイムズ紙のコラムニストの経歴を持つジャーナリストのアナベル・ウィリアムズさんは、「世界経済フォーラムによれば、現在のペースだと、男女間の賃金格差を解消するためには<257年>かかる」と話します。今回は、アナベルさんの著書『女性はなぜ男性より貧しいのか?』より一部引用、再編集してお届けします。

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◆美のプレッシャー

美のプレッシャーの究極の結末は、少女たちの未来に向けた希望と社会参加の道を狭めてしまうことだ。

4万9000人の女性が対象になった研究によれば、身体的な印象を気にして出勤しなくなったり就職の面接をとりやめたりする女性が、少数ではあるが無視できない割合でいるという。(1)

別の研究では、若い女性の3分の2が、容姿を批判されるだろうからテレビに出たくないと回答している(2)。

これは心配だ。リーダーになるとか、ある分野ですぐれた業績を残すとかいったことは、人目につきやすくなることを意味するからだ。

◆ソーシャルメディアの理想像

その対極になるが、一部の若い女性はこれまでにも増して、ソーシャルメディアに登場する理想像に表現されるようなキャリアにあこがれる。

インフルエンサーやインスタグラムのモデルに代表される理想像、さらには女性の顔や体、家庭、人間関係やライフスタイルを描いた作品に登場する理想像だ。

イギリスの15歳から19歳の少女1万人にさまざまな職業のリストから理想の仕事を選ぶよう尋ねた研究では、多くの人が、体が強調される職業を選んだという。

魅力あふれるモデルは、63パーセントの少女が選んだ理想の職業であり、また、4分の1がラップダンサーを最上位にあげた(3)。

このデータから、一般に考えられている以上に、美のプレッシャーが女性のキャリア選択に影響を及ぼしていることがわかるだろう。