ギャンブル依存症の人がはまる「負のループ」。負けを認めず、さらにエスカレートして借金を繰り返す……

AI要約

ギャンブル依存症とは、脳の報酬系に異常が起きており、本人の意志力だけでは克服できない状態である。医療機関での治療が必要であり、カウンセリングや認知行動療法を受けることで改善が見込める。

依存症の人は、時間や金額を制御できずにギャンブルを続ける傾向があり、負けを取り戻すために深追いしてしまう。冷静な判断ができず、勝てると思い込んでしまうことが特徴。

ギャンブル依存症の人は、勝っているときも負けているときも止めるタイミングがつかめず、延々と賭け続けてしまう傾向がある。

ギャンブル依存症の人がはまる「負のループ」。負けを認めず、さらにエスカレートして借金を繰り返す……

ギャンブルに夢中になる人は大勢います。生活に重大な問題が起きているにもかかわらず、勝利や賞金を深追いし、嘘や借金が常態化してしまっている人もいます。「ギャンブル依存症」です。かつてはそういう人の問題を、本人の意志の弱さから起きることだと考えるのがふつうでした。しかし近年は、病気だと考えることが一般的になっています。脳の報酬系に異常が起きていて、本人の意志の力だけではやめられない状態になっているのです。

こういう場合は、医療機関を受診したほうがよいでしょう。そして、カウンセリングや認知行動療法などの治療を受けるようにしましょう。そうすれば、本人の行動パターンや考え方が変わり、脳も異常な状態から回復していきます。

この連載では、『ギャンブル依存症から抜け出す本』(樋口進監修、講談社刊)から、依存症の特徴から治療法、生活上の注意までを、全8回にわたって解説します。今回は、ギャンブル依存症の実際の症状についてご説明します。依存症に悩む本人や家族が悪循環から抜け出すためのヒントを見つけてください。

ギャンブル依存症から抜け出す 第3回

第2回はこちら〈ギャンブル依存症になりやすいのはどんな人? なぜ、ギャンブルをやめられなくなるのか、その“脳の異常”とは〉

依存症の人は、一定の時間や金額でギャンブルを切り上げることが、なかなかできません。ギャンブルでは損をすることのほうが多いわけですが、依存症の人には、負けても負けても、勝つまで勝負を続け、負けをとり返そうとする傾向があります。「深追い」をしてしまうのです。

ギャンブルの負けをギャンブルでとり戻すのは、まず不可能でしょう。しかし依存症の人は、本当に勝てると思っています。冷静な判断ができなくなっているのです。

また、運よく勝ったときにも、「もう少し勝てる」と考え、勝負を続けてしまい、結局負けはじめるということがあります。結果として、負けているときも勝っているときも、やめるタイミングがつかめず、延々と賭け続けてしまうのです。