来年65歳ですが、勤務先が70歳まで働ける制度を導入しました。退職するか働き続けるか迷っています…
厚生労働省が令和5年に発表した報告によると、70歳まで働ける企業の割合は、41.6%に上るという結果が示された。定年年齢を引き上げる取り組みが進む中、今後も増加が見込まれている。
高年齢者の雇用安定を図るために行われた法改正で、企業には70歳までの定年の引き上げや廃止を促す内容が含まれているが、義務化はされていない点に留意が必要である。
中小企業と大企業の間で、70歳以上まで働ける制度を取り入れる割合にそれぞれ若干の差異があることが報告されており、今後も高齢者の労働参加が進むことが期待される。
お勤めの会社が定年の年齢を引き上げた場合、体力や収入の面から働き続けるか迷う方もいるでしょう。本記事では、70歳まで働ける企業の割合や、ほかの高年齢者の方がどのくらい働き続けたいかといった調査から、65歳以降の働き方について解説します。
令和3年に「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」の一部が改正され、事業主に「70歳までの定年の引き上げ」や「定年制の廃止」などの措置を講じるよう通達されています。この改正が行われたのは、少子高齢化が進む現代で経済活動を維持するために、意欲や体力のある高年齢者が活躍できるような環境を整備するためです。
しかし、この改正では必ずしも「70歳までの定年引き上げ」を義務づけているものではない部分に注意が必要です。あくまで働く意欲のある方の選択肢を増やすという点を重視したものです。
この改正を踏まえて、定年年齢を70歳まで引き上げている会社もあります。実際に70歳以上まで働ける企業はどのくらいあるか、次項にて見ていきましょう。
厚生労働省の令和5年「高年齢者雇用状況等報告」によれば、70歳以上まで働ける会社を以下のように定め、実施状況について調査しています。
●定年制度がない
●定年年齢が70歳以上
●希望するもの全員を70歳以上まで継続雇用
●対象者にかかわる基準に該当する者を70歳以上まで継続雇用
●創業支援等措置や、そのほか企業の実情に応じて何らかの仕組みで70歳以上まで働ける
調査によれば、報告のあった全企業のうち41.6%が、70歳以上まで働ける制度を取り入れていることが分かっています。
また、前年度と比べて2.5ポイントの増加があったことから、高年齢者のさらなる活躍を期待している企業が多いとも推測されます。
さらに、企業の規模別では中小企業が41.8%、大企業では38.1%の実施状況でした。今後も少子高齢化が進むことで、定年年齢を引き上げる会社はさらに増えていくでしょう。