【医師が監修】高齢者ドライバーの「暴走事故」をくいとめる「6つの脳力」…認知機能テストの中身を大公開!

AI要約

高齢者ドライバーによる交通事故の増加とその背景

運転免許保有者数のデータと高齢者ドライバーの割合の問題

高齢者ドライバーと社会的課題、今後の課題について

【医師が監修】高齢者ドライバーの「暴走事故」をくいとめる「6つの脳力」…認知機能テストの中身を大公開!

 2019年4月19日に起きた池袋暴走事故から5年余が経つ。

 当時87歳の男性ドライバー(旧通産省の元職員)が、母娘2人の死亡、および10人に重軽傷を負わせたこの事故の記憶はいまだ生々しい。

 内閣府の発表によれば、80歳以上の高齢運転者による死亡事故件数は、平成21年には180件であったが、令和元年には224件と増加傾向にある。

 さらに75歳以上と75歳未満の死亡事故の人的要因別で比較すると、75歳の高齢運転者は操作不適による事故が28%と最も多く、このうちハンドル操作不適が13.7%、ブレーキとアクセルによる踏み違い事故では、75歳未満が全体の0.5%に過ぎないのに対し、75歳以上の高齢運転者は7.0%と高い。

 今月にも埼玉県で84歳の男性が運転する車に小1の児童がはねられた事故や、高齢者ドライバーが一般道や高速道路を逆走も報じられており、相次ぐ事故のニュースに「自分はいつまで運転できるのか」と問いかける高齢者のドライバーも多いだろう。

 クルマは生活するうえで老若男女問わずに利便性の高い交通手段だが、特に足腰の弱った高齢者には手放し難い存在だ。池袋暴走事故以降、運転免許の自主返納はムードの高まりを見せたが、現在はその数も減少傾向にあるという。

 公共交通機関の多い都市部とは違い、地方では買い物や病院などの移動手段にクルマはなくてはならないものだ。「自分の足代わりになっている」高齢者は多く存在するものの、これだけ多くの事故が相次げば、そのリスクに目を背ける訳にもいかない。

 「自分が認知機能低下で事故を引き起こしたら、どうしょう」

 「自分はともかく、父親は70歳を超えていまだに運転しているが、いつ免許返納の話を切り出そうか」

 高齢者ドライバーによる交通事故の増加を受け、このように考えてハンドルを握っている人は少なくない。

 現在、運転免許保有者数は約8199万人。そのうち65歳以上の運転免許保有率は23.5%(約1927万人)だ。さらに75歳以上となると8.1%(約667万人)だという(警察庁統計/令和4年)。

 つまり、運転免許証をもっている日本人の8.1%が、75歳以上の高齢ドライバーとなる。2025年、国民の5人に1人が75歳以上という超高齢化社会を迎えるにあたり、この数値も今後増加すると見込まれており、冒頭の凄惨な事故をはじめ、高齢者による事故の一因としても、大きな社会問題とされている。