生成AIへの期待、スマホ出荷予測を上方修正 米社

AI要約

米調査会社のIDCが、2024年の世界スマートフォン出荷台数見通しを引き上げた。消費者需要の回復と、生成AI(人工知能)機能への期待の高まりが背景にある。

IDCは、2024年世界スマホ出荷台数の伸び率予測を、従来の前年比4%から5.8%に上方修正した。Androidスマホと生成AI機能搭載端末の成長が鍵となっている。

AI機能搭載スマートフォン市場は急成長し、高価帯端末も活気を取り戻している。価格差が開きつつあり、プレミアム化が進むと見込まれる。

 米調査会社のIDCが、2024年の世界スマートフォン出荷台数見通しを引き上げた。消費者需要の回復と、生成AI(人工知能)機能への期待の高まりが背景にある。

■ 24年、5.8%増の12億3000万台に

 IDCは、2024年世界スマホ出荷台数の伸び率予測を、従来の前年比4%から5.8%に上方修正した。出荷台数は、12億3000万台になるという。

 出荷台数は、24年1~3月期の12%増に続き、同4~6月期も9%増と成長し、年後半の見通しが明るくなってきた。価格を抑えたAndroidスマホは、過去2年間の困難な状況を脱し、新興国市場で急速な成長が続いている。一方、高価格帯端末市場では、生成AIスマホが受け入れられ始め、業界に活気と新たな関心を呼び起こしているという。

 IDCシニアリサーチディレクターのナビラ・ポパル氏は「中国と新興国市場におけるAndroidデバイスの力強い成長が原動力となり、スマホ市場の回復への道が確固たるものになる」と述べている。

 これにより、24年におけるAndroid端末の成長率は7.1%に達する見通し。一方、米アップルの「iPhone」の成長率は0.8%にとどまるという。iPhoneの緩やかな成長は、中国での競争激化が要因だが、比較対象となる前年の実績が良かったことも影響している。

■ iPhoneの予測値、上振れの可能性

 ただし、このiPhoneの予測値は上振れする可能性が十分にある。その度合いは、アップルが先の開発者会議で発表したAI機能が「iPhone 16」でどれだけ成功するかや、アップルがどれだけ早く中国の現地AI企業と連携できるかによって決まるという。

 IDCによれば、アップルのAIシステムである「Apple Intelligence(アップルインテリジェンス)」には既に多くの期待が寄せられている。これにより、iPhoneは25年に勢いを増し、買い替えが促進されると予測する。IDCは、25年におけるiPhoneの前年比成長率が4%に改善するとみている。

 IDCが先ごろまとめた24年4~6月期の世界スマホ出荷台数は、前年同期比6.5%増の2億8540万台だった。スマホ市場は23年に過去10年で最低の出荷台数を記録したが、同年後半から徐々に回復し、24年1~3月も7.8%増と好調に推移した。

 ただ、同四半期におけるiPhoneの出荷台数は4520万台で成長率は1.5%だった。iPhoneは、23年に年間出荷台数で初の首位に立ち、同年10~12月も首位だったが、翌24年1~3月に2位に転落。同4~6月も2位だった。

■ AIスマホの出荷台数、24年は4.4倍

 AI搭載スマホは24年に急成長を遂げるとIDCは予測する。「各メーカーの高価格帯旗艦モデルは、他のモデルとの差異化を図るために、引き続き生成AI機能を採用していくだろう」(IDCのリサーチディレクター、アンソニー・スカーセラ氏)。

 IDCによると、24年におけるAI搭載スマホの成長率は344%、つまり、出荷台数は前年の約4.4倍になる。これにより全スマホ出荷台数に占めるAIスマホの比率は18%になる。ほとんどの旗艦モデルが何らかのオンデバイス生成AI機能を採用するようになるとIDCは予測する。

 これに伴い、非AI端末との価格差はますます開いていく。「初期の生成AI対応デバイスは高価になる」(同社のスカーセラ氏)。これらのAIスマホの平均販売価格(ASP)は、非対応デバイスの2倍以上になることが予想され、プレミアム化の傾向がさらに高まると同社は分析している。