「Pixel 9 Pro Fold」レビュー 前モデルから一気に進化、大画面を味わえるグーグルの折りたたみを隅々までチェック

AI要約

 グーグルが9月4日に発売する最新モデル「Pixel 9 Pro Fold」は、フォルダブルスマートフォンとして第2世代のモデルで、デザインや性能が大幅にアップデートされている。

 新しいデザインは縦長のボディで、180度開くディスプレイや搭載カメラ、バッテリー性能も充実している。また、Google Tensor G4チップや5Gネットワークのミリ波にも対応している。

 カラーバリエーションやカメラ機能など、使い勝手を重視したPixel 9 Pro Foldは、フォルダブルスマートフォンを探しているユーザーにおすすめのモデルと言える。

「Pixel 9 Pro Fold」レビュー 前モデルから一気に進化、大画面を味わえるグーグルの折りたたみを隅々までチェック

 グーグルは、Pixelシリーズ最新モデル「Pixel 9 Pro Fold」を9月4日に発売する。価格はグーグル直販サイトでは256GBモデルが25万7500円。そのほかドコモ、au、ソフトバンク各社でも購入可能となっており、auとソフトバンクは512GBモデルも取り扱う。

 Pixelシリーズのフォルダブルスマートフォンとしては第2世代となるが、前モデルが「Pixel Fold」というネーミングだったのに対し、今回は「Pixel 9 Pro Fold」とシリーズのナンバリングと「Pro」がつけられている。

 実際に触ってみるとデザインも含めて、かなりのアップデートが施されており、数世代ぶんの進化とProモデルらしさを感じられるモデルに仕上がっている。

■ デザイン一新、縦長になったボディ

 本体サイズは閉じた状態で約77.1(W)10.5(D)×155.2(H)mm。広げた状態は約150.2(W)×5.1(D)×155.2(H)mmとなっている。前モデルのPixel Foldよりも高さがあるため、閉じた状態ではかなり細長い印象。また開いた状態でも縦長のままで、サムスンのGalaxy Z Fold6に近いスタイルだ。

 重量は257gとスマートフォンとしては重量級だが、本体がフォルダブルタイプとしてはかなり薄く重量バランスも良いため、手に持った印象では軽く感じる。

 本体カラーはObsidian(オブシディアン/黒系)、Porcelain(ポーセリン/白系)の2色。純正ケース(7920円)には同色のほか、Aloe(アロエ/緑系)も用意されている。

■ 180度開くディスプレイ

 本体を開いた状態にしたときに、前モデルは若干開ききらない感じであったが、Pixel 9 Pro Foldはしっかりと180度で開く。ただしディスプレイの折り目の部分は、他社のフォルダブルと比較するとやや目立つ。とはいえディスプレイをオンにしていればそこまで気にならない。

 ディスプレイサイズは外部カバーが6.3インチ(1024×2424ドット)のActua ディスプレイで、最大輝度はHDR輝度で1800ニト、ピーク輝度で2700輝度となっている。またリフレッシュレートは60Hz~120Hzに対応。

 内側のディスプレイは8インチ(2076×2152ドット)のSuper Actua Flex ディスプレイ。最大輝度はHDR輝度で1600ニト、ピーク輝度で2700輝度となっており、リフレッシュレートは1Hz~120Hzに対応している。

 そのほか24ビットフルカラーやコントラスト比2,000,000:1以上といったスペックは、両ディスプレイとも同じだ。

 ちなみに、内側のカメラは前モデルではベゼル内にあったが、今モデルではディスプレイ内にありパンチホール型のカメラとなっている。左右の幅があるので、YouTubeなどで16:9のコンテンツを、テーブルトップモードで視聴する際には映像に被ることはない。

 フロントガラスおよび背面パネルは傷がつきにくいCorning Gorilla Glass Victus 2カバーガラスを採用。IP8に準拠した防水性能だが防塵には対応していないので、細かな砂舞うような場所での使用は控えたほうが良さそうだ。

 また、Pixel 9 Pro XLと同じく、製品の全重量に対してリサイクル素材を18%%以上使用しており、ヒンジやカメラバイザーに使われているアルミニウムに関しては100%リサイクル素材を用いている。

■ グーグル独自のチップ「Tensor G4」搭載

 チップセットは最新の今回のPixel 9シリーズで共通となっている「Google Tensor G4」を搭載。別記事での「Pixel 9 Pro XL」での記事でも言及しているが、プロセッサーに関しては前モデルのTensor G3から大幅な性能アップはしていない。

 もともとTensorシリーズは、他社製のハイエンドプロセッサーと比較すると、グラフィック性能などで劣る部分はあるため、3Dゲームなどヘビーな使い方をするのが目的なら、そちらにフィーチャーしたスマートフォンを買ったほうがよい。

 とはいえ、メモリーは16GB、ストレージも256GBもしくは512GBと十分なスペックなので、Tensor G4でも普段使いや、AI関連のサービスを使うぶんには申し分ない性能。購入後にストレスがたまるような使い勝手にはならないはずだ。

 プライバシー保護などの処理を行う「Titan M2 セキュリティコプロセッサー」は前モデルと同じものが搭載されている。また、生体認証は電源ボタンと一体になった指紋認証と顔認証が利用可能となっている。

□バッテリーの性能は

 バッテリー容量は4650mAh。開いた状態で最大輝度に設定し、YouTubeの4K動画を充電100%の状態から再生し続けたところ、約8時間20分でバッテリー残量がゼロになった。8インチのディスプレイで、高いピーク輝度を考慮すればスタミナは十分。背面ディスプレイだけでの運用や、実用的な明るさの設定であれば連続再生時間はもっと伸ばすことができる。

 充電は急速充電に対応しており、別売の45W充電器を使用した場合、数分で数時間分の充電が可能。また、ワイヤレス充電に対応しているが、(最大23W)も利用できる。ただし、Pixel 9 Pro Fold側の受電用コイル位置があわないため、第2世代のGoogle Pixel Standは対応アクセサリーになっておらず、実際セットしても充電できなかった。

■ Pixel 9シリーズ唯一の「ミリ波対応」

 通信面では、セルラーの対応バンドが、5GはSub-6のn1 / 2 / 3 / 5 / 7 / 8 / 12 / 14 / 20 / 25 / 26 / 28 / 30 / 38 / 40 / 41 / 48 / 66 / 70 / 71 / 75 / 76 / 77 / 78 / 79に加えて、ミリ波のn257 / n258 / n260 / n261に対応。

 今回ほかのPixel 9シリーズはミリ波に非対応なので、5Gを現状のフルスペックで使いたいユーザーにはうれしいポイントだ。

 物理SIMは本体下部にピンで押し出すタイプのトレーを装備。nanoSIM1枚をセット可能。eSIMにも対応しており、デュアルeSIMでの運用も可能となっている。

 無線LANはWi-Fi 7に対応し、Bluetoothはバージョン5.3。従来モデルと同じくFeliCaも搭載されており、おサイフケータイなども利用可能と、このあたりはPixel 9シリーズ共通だ。

■ トリプルカメラを搭載、その実力は?

 カメラは背面に広角カメラ(4800万画素、画角82度、F値1.7、センサーサイズ1/2インチ)と超広角カメラ(1050万画素、画角127度、F値2.2、センサーサイズ1/3.4インチ)、望遠カメラ(10800万画素、画角23度、F値3.1.8、センサーサイズ1/3.2インチ)を搭載したトリプル仕様。

 Pixel 9 ProおよびPixel 9 Pro XLも同じトリプル仕様だが、スペックはPixel 9 Pro Foldのほうがやや落ちる。

 そのため、写真撮影時のプロ設定でピクセルビニングを解除して高解像度で撮影する設定がなく、動画撮影では8Kのブーストも利用できない。ただし動画に関しては、4Kのブーストや、夜景モードは利用可能だ。

 本記事の作例では、とくにピントなどはあわせず、そのままシャッターを押して撮影しているが、基本的には不満なポイントはない。Pixelシリーズ共通して料理の撮影時に若干暗くなってしまので、そのあたりは手動で調整すれば、ミスショットは減らせそうだ。

□カメラでもフォルダブルを活かす機能

 Pixel 9 Pro Fold独自の機能として、デュアルスクリーンを活用した「こっちを見て」も利用可能。子どもの撮影に威力を発揮しそうだ。

 前モデルのネガな部分が丁寧に改良されており、他社のフォルダブルスマートフォンと比較しても十分満足できる仕上がりとなっている「Pixel 9 Pro Fold」。通常のスマートフォンでは満足できず、もっと違うスタイルでスマートフォンを使いこなしたいユーザーにオススメしたいモデルだ。